「平成29(2017)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説
みなさん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。
今回は、「平成31(2019)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。
題名は「パッチワークと刺繍(ししゅう)」(岡島弘子)です。
【詩の構成】
問題を解く前にこの詩の構成について、お話させていただきます。
これをわかっていると問題を解きやすいからです。
1連:「小さい植物(芽)」と「幼いわたし(自分)」の対比
2〜3連:「植物の成長」と「わたし(自分)の成長」の対比
4〜5連:「無限の植物」と「無限の星」の対比
6〜7連:「無限の植物、星」と「小さいわたし(自分)」の対比
上記を見て分かるように、大部分が対比で構成されています。
このあたりを頭に入れて問題を問いていきましょう!
【問1】
(解説)
線部1の「地面と親しい背丈だった」は比喩表現です。
ですから、この設問は、この線部1の比喩表現を抽象的な表現に言いかえなさい、いう問題です。
また、設問は「どういうことですか」と問いていますので、答え方は「〜こと」にします。
1連4行目に「わたし」と書かれています。
「わたし」とは、作者自身のことを言っています。
よって、「自分」が「地面と親しい背丈だった」、と言いかえることができます。
「親しい」とは、「仲がいい、心が近い」という意味です。
また、「背丈」とは、「身長」のことであるため、
「地面と親しい背丈」とは、「地面に近い背丈」となり、
もう少しわかりやすく言うと「背が低かった」となります。
この辺りをまとめると以下の解答例になります。
(解答例)1行20字程度
作者が、まだ背が低かったということ。(18字)
【問2】
(解説)
線部2も線部1同様、比喩表現です。
ですから、この設問も、この比喩表現を抽象的に言いかえなさい、という問題です。
また、設問は「どういうことですか」と問いていますので、答え方は「〜こと」になります。
2連1行目に、「芽(植物)」の見分けがつかなかったことが書かれています。
そして、2連5〜6行目には、1週間たって「芽(植物)」が「ハコベラ」や「アカザ」という植物になったと書かれています。
つまり、線部2の「正体がばれた」というのは、「植物の見分け、違いが分かるようになった」ということになります。
(解答例)1行20字程度
植物の違いが分かるようになったということ。(21字)
【問3】
(解説)
この設問は、理由を問いているため「〜から」または「〜ため」という答え方になります。
線部3で「子」ではなく、「仔」という漢字を使用しています。
「仔」は動物限定で使用される感じであり、幼さを強調する時に使われることが多いようです。
例)仔猫、仔犬等
また、線部3の後に「でも」という言葉があります。
この意味は、譲歩の意味があり、「〜であっても」です。
さらに、3連4行目「ニンゲン」という言葉があります。
人間をあえて「ニンゲン」と表現している理由は、人間を強調するためだと考えられます。
幼い「わたし」は、「ニンゲン」であり、「動物の仔」に含まれます。
つまり、「わたし」は動物、生物、自然の一部であることを表現したいため、「動物の仔」と表現していると考えられます。
そのあたりを踏まえると、下記のような解答例になります。
(解答例)1行20字程度
自分も自然の一部分であることを強調するため。(21字)
【問4】
(解説)
線部4は比喩表現です。
そのため、この設問は線部4の比喩表現を抽象的に言いかえ、「〜様子」という表現にしなさい、という問題です。
まずは、「パッチワーク」という言葉は「※注」に書いてある通り、
「小さな布をぬい合わせて、大きな布をつくる手芸」
です。
また、線部4の最後には「大地」と書かれているため、線部4は、植物のことを表現していると考えられます。
ですから、「いろいろな色」「さまざまな種類」の「植物」が「地面」をおおっている様子を表していると思われます。
ここでは、「いろいろな色」「さまざまな種類」の「植物」、「地面」等の言葉が入っていることがポイントと考えられます。
よって、解答例は以下となります。
(解答例)2行40字程度
いろいろな種類の植物がさまざまな色で地面をおおっている様子。(30字)
【問5】
(解説)
この設問を理由を問いています。
よって答え方は、「〜から」となります。
線部5の「刺繍」は、「種々の糸を用いて、布地の表面に文字や模様を縫いつけること」です。
また、線部5に「空」という言葉があるため、「刺繍」は「星」のことを表現しています。
つまり、「刺繍でいっぱいの空」とは「星がたくさんある空」のことなります。
しかし、この詩は、太陽が出ている時(昼間)のことを書いているため、「星」というのはおかしいと思われるかもしれません。
5連2〜3行目に
「みあげると 昼のさき
太陽のかげには たくさんの星があるようだった」
と書かれています。
「昼のさき」、つまり「夜」のことを表していて、
「太陽のかげには たくさんの星があるようだった」は、太陽がある昼間には、太陽の光が明るいため、星が見えないが、本当はたくさんの星があることを表しています。
解答例は以下になります。
(解答例)2行40字程度
太陽が出ている昼間でも、その奥に無数の星があると思えたから。(30字)
【問6】
(解説)
選択肢を一つひとつ確認し、消去法で解いていきます。
また、選択肢は読点によって、前半と後半に区切られるため、分けて考えていきます。
「ア」:前半部分に「雲の上で散歩」と書かれていますが、詩の中にそのような表現はないため、「×」。
「イ」:前半部分に「夜空をながめながら」、後半部分に「未来の自分に期待」と書かれています。この詩にそのような場面はないため、「×」。
「ウ」:前半部分に「ゲームをしながら」と書かれていますが、そのようなことは書かれていないため、「×」。
「エ」:後半部分に「わが子の成長を願っている」と書かれていますが、この詩は作者の幼い頃のことを表現しているため、「×」。
よって、模解は以下の通りになります。
(模解)
「オ」
さて、どうだったでしょうか?
「詩の読解」は、一字一字丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。
しっかり頑張っていきましょう!



