中小企業が使える国の補助金概要とリーフレット(11/16更新)

2025年11月28日に閣議決定された令和7年度補正予算案では、中小企業向けの支援枠が引き続き大きく確保されており、2026(令和8)年度に公募予定の補助金の方向性も明確になってきました。結論として、補助金の“大きなメニュー”に大きな変更はなく、これまでの支援制度を維持しながら、政策の重点をより鮮明にした形になっています。
従来の柱であった IT導入補助金 は「デジタル化・AI導入補助金」へと再編された形で公募される見通しです。単なるシステム導入ではなく、生成AI・データ活用・自動化・無人化・オンライン化など、生産性向上・省力化を直接もたらす投資が対象となる点が今回の大きな変化と思われます。これまでもホームページやECサイトが対象外になってきましたが、店舗・製造・医療・サービス業など、幅広い業種の業務に関しては対応しやすい方向になると想定されます。
また、注目されるのが スケールアップ企業への大型投資支援の強化 です。以下の二つの補助金が継続される見込みで、「数百万円〜数千万円の設備補助」だけではなく、10億〜100億円規模の成長を後押しする投資支援が強く打ち出されています。
中小企業成長加速化補助金
売上高100億円を超える中小企業(100億企業)創出に向けて、飛躍的な成長を志向する企業に対する財政支援を実施
・補助上限額:5億円、補助率: 1/2以下(R7年度の例)
大規模成長投資補助金
中堅・中小企業が、足元の人手不足に対応した省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う、工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助
・投資額が10億円以上、補助上限額:50億円、補助率: 1/3以下(R7年度の例)
また、継続が見込まれる代表的な補助金として
省力化投資補助金、事業承継・M&A補助金、小規模事業者持続化補助金 が挙げられます。
今回の補正では、「人口減少・深刻化する人手不足」と「賃上げ」の両立を進める政策色が非常に濃く、省力化・自動化・業務効率化に関する投資を支援する補助金の継続が明確に示されています。また、事業承継・M&Aに関する補助金についても、後継者不足・店舗閉鎖リスクを回避し、地域経済を維持する観点から、引き続き公募が予定されています。小規模事業者持続化補助金についても、販路開拓・事業維持支援の位置づけは維持されており、これまでと同様に中小・小規模向けのベース補助金として機能する見込みです。
なお、これまで中核的存在だった ものづくり補助金 については、現時点で明確な継続の言及はありません。しかし、生産性革命推進事業の一部として取り扱われる可能性が示唆されており、完全に消滅するというより、名称・制度設計を変えながら存続する可能性があると推察されます。
総じて令和8年度の補助金は、「既存メニューの継続+成長投資・省力化・AI活用を強化する」 となる見込みです。小規模事業者にとっては従来の小口補助が継続し、同時に、スケールアップを目指す企業にとっては大型補助の追い風となる一年となります。
補助金の世界は「動きが小さい年こそ、方向性が読みやすく準備がしやすい年」。令和8年度の公募に向けて動く企業にとって、今年はまさに“先手を取る価値のある年”となると想定されます。



