【M&Aで決算書を見るときの着眼点】損益計算書編~自社とのシナジーを見据えた売上と費用の分析ポイント~

事業承継の成功には、親族による協力関係の構築が欠かせません。そのためには、経営者が後継者、後継者以外を含めて親族への思いやりを示し、相続・遺言・贈与を総合的に考慮すること及びコミュニケーションが重要です。以下がポイントになります。
1. 後継者への資産集中と親族への配慮
【後継者への資産集中】
後継者が安定した経営を行うためには、自社株式や事業用資産を集中して承継させることが必要です。特に、自社株式は次の議決権割合を確保することが目安です。
- 特別決議(2/3以上の議決権): 定款変更や会社の解散・合併の承認など
- 普通決議(1/2以上の議決権): 役員の選解任、資本金増資、配当決定など
【各相続人への配慮】
親族全体が円満に事業承継を応援するためには、事業に関与しない親族へ現預金や不動産、証券などの資産を分配することを検討しましょう。また、生前贈与や遺言の利用時には「遺留分」への配慮も必要です。保険の活用も有効な手段です。
2. 資産の移動方法の検討
【株式や事業用資産の移動】
資産価値が高い場合は、暦年贈与や相続時精算課税を活用しましょう。令和6年度税制改正
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/030.pdfでは相続時精算課税の有利性が注目されていますが、贈与税を払って移転したほうが有利になる場合など、状況によっては暦年贈与の方が適している場合もあります。
【その他の手段】
退職金や保険の活用も検討の余地があります。それでも対応が難しい場合には、事業承継税制の利用が有効です。詳細については以下をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm
3. 専門家と連携した支援
当事務所では、税務面について顧問税理士とも連携しながら事業承継を支援しています。経営者特有のニーズに応じた相続・遺言対策を提案し、親族全員が後継者を応援できる体制を整えます。



