耳穴型補聴器のメリットを再確認
補聴器には大きく分けて、「耳穴式」・「耳かけ式」・「ポケット型」・「骨伝導式」の4タイプがあります。
そして、それら各タイプの中でも様々な形状に枝分かれします。
耳穴式は、サイズの大きい順から、
(メーカーによって呼称が異なることがあります)
・フルサイズ/コンチャ/ITE
・ハーフ
・ITC/カナル
・CIC
・IIC
などがあります。
それぞれ見ていきます。
まず、耳穴式で一番大きなフルサイズの補聴器
実際に耳に入れてみると、耳全体を覆う程度の大きさがあります。
この大きさを選択する場合、高度~重度難聴でそれなりのパワーを必要とするケースが多いでしょう。
次にハーフサイズ
こちらは、上のフルサイズと同程度のパワーを確保しつつ、一回り小さめに作られています。
パワーを必要とする際に、形状が大きくなってしまうのは何となく想像がつくかと思いますが、
高出力のレシーバー(スピーカー)はどうしてもサイズが大きめになってしまうことが挙げられます。
それ以外にも、外へ音が漏れることで発生するハウリングを防止するため、なるべく密閉度を高める必要があったのです。
しかし、最近ではその音漏れによるハウリングを機械的に消すキャンセリング技術が発展し、ハウリングの発生はかなり減りました。
そのため、パワーを必要とする高度~重度難聴であっても、やや小さめの形状で作成することが可能となったのです。
現在では、高度難聴でもこのサイズでほぼまかなえるかと思います。
次にITC、もしくはカナルサイズと呼ばれるもの。
これが耳穴式補聴器で最もスタンダードな形状です。
耳穴の部分のみがカバーされた状態。
このサイズでも中等度~高度難聴まで対応が可能。
大きすぎず、小さすぎないサイズ感と、パワーのバランスが取れた最も扱いやすいサイズかと思いますが、
髪の短い男性だと、横から見ると見えることは否めません。
次にCIC
完全に耳穴に全体が収まってしまうのでほぼ見えない補聴器です。
このサイズでも、実は高度難聴にさしかかってきた位まで対応可能。
横から見たら見えなくもないですが、よほど注意してのぞき込まなければ気付かないレベル。
このサイズになると、電池のサイズも小さくなってくる場合がありますので、電池交換など手先の器用さに不安がある場合は避けたほうがよい場合もあります。
最後に最も小さい補聴器、IIC。
(アイアイシー)と読みます。
耳穴の奥へ差し込んで使います。
こうなると、もう完全に見えない補聴器と言ってもよいでしょう。
軽度~中等度難聴くらいまでの方にお勧めです。
右がCIC,左がIIC
この写真のCICは電池が1サイズ上のカナルタイプと同じものを使用できるので、扱いやすく小さいながらパワーもそこそこ確保できるタイプ。
左のIICは電池も最小タイプのものになりますので、扱いは少々難しくはなりますが何しろ小さいので違和感が少なく、慣れるのも早い。
若い世代で、仕事をアクティブにされている方には特にお勧めです。
耳穴式補聴器のメリット・デメリット
耳穴式補聴器のメリットは何といっても、邪魔にならない手軽さ。
マスクやメガネに干渉しない点が挙げられます。
次に、聞こえの面でのメリット。
耳の中に納まるので、音を拾うマイクがいつも音を拾っている位置と変わらず、自然な方向感を得られやすい点。
電話で会話する際も、違和感がありません。
耳かけ補聴器の場合は、マイクが耳の上に来ますので電話を取る際に少々慣れが必要です。
そして、耳かけ補聴器よりも装着しやすい点。
耳かけは、一度耳の上に本体を乗せて、それから耳栓を耳道に差し込む2段階の作業が必要ですが、
耳穴式の場合は、それが1度で済みます。
では、デメリットはどうでしょうか?
小さいので電池交換が難しい場合がある。
高齢で手先の器用さに不安があるようなケースでは、避けた方が良い場合もあります。
耳道が塞がれることからくる閉塞感。
耳が塞がった感覚が、当初の違和感としてあるかもしれません。
しかし、これはベントと呼ばれる通気孔を開けたり、CICやIICなどサイズの小さい機種を選択することで、かなり軽減することができます。
また、長期間使っていくうちに違和感はかなり気にならなくなってくるようです。
最後に、耳穴式は作成する際に各個人の耳型採型が必要になってきます。
実は、この耳型採型が意外と難しい。
下手な者が採った耳型では、聞こえにも多大な影響が出てしまいます。
キツイ、ゆるい、音の出る向きが鼓膜の方を正しく向いていない等々。
耳型採型は経験を必要とする繊細な作業ですので、是非経験ある専門家への相談をお勧め致します。