研究開発とランチェスターの法則
最近、技術の棚卸しに関する相談が増えています。特に注目されているのは、富士フイルムが銀塩写真技術から化粧品業界へとビジネスを拡大した成功例です。このケースは、技術の棚卸しを通じて、既存技術を新たな市場や製品に応用する機会を模索するプロセスの見本としてよく引き合いに出されます。
技術の棚卸しでは、通常、企業が保有する技術の中から、特に重要な知的財産を含む技術キーワードを選び出し、整理する作業が行われます。しかし、実際にこの作業を進めてみると、多くの場合、表面的で実質的な内容に乏しい結果になることがしばしばです。例えば、「有機合成」という技術が、大手化学メーカーにおける技術の中核として挙げられることがありますが、この分野は確かに化学メーカー各社の強みとなっていますが、それだけで新しい製品やアプリケーションが生まれるわけではありません。
直接の関係者ではありませんが、富士フイルムの例では、単に技術の棚卸しを実施しただけでなく、化粧品分野への明確な進出意志があったため、どの技術が再び必要かを特定し、棚卸しを行ったのだと考えられます。
重要なのは、技術の棚卸しを行うだけでは、新しい方向性やアイデアは生まれないということです。新規事業を開発するためには、目的とするビジョンや目指すべき方向性に「魂」を込めた棚卸しが必須です。
技術の棚卸しを考えている企業はしばしば、このプロセスを目的として捉えがちですが、実際には新規事業の創出や将来への一歩として捉えるべきです。技術の棚卸しは、新たな市場の開拓や将来的な成長を目指す企業の戦略的取り組みの一環となるべきです。
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