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明石郁生
臨床心理士・カウンセラー
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明石郁生(臨床心理士・カウンセラー)
家族とAC研究室
おまえちっともおもしろくないないとドクターがかぶりを振った。それでやっと白衣の男女は顔を見合わせたりカメラのスイッチを入れたりして空気がなごんだ。 「オオサカで彼のヒフの断層を採取した」ドクターがファイルの書類を一枚めくりながら言った。ぼくは胃の底がきゅっと締めあがるのを感...
月曜日の朝、ポートランド空港に着いた。構造物のあちらこちらに木材を使っていることになぐさめられながらもよろよろと通路を歩く。相変わらず自分がどこに向かっているのかわからないでいたが、行き先の書いたメモを持っていることは悪くない気分だった。昨晩持ち物にまよったが、ありったけの...
オオサカで起こったことをビサに話した。 「治験って何をするのか全然わからないけど体を丸ごと提供するってことだよな?」 「彼は研究者だからあなたの症状に興味があるし、お薬を作るのにデータを取ったりするんじゃない?」 ビサはレンジでチンしたたこ焼きをふうふう言いながらほおばっている...
始発電車に乗るためにビサが朝4時から包帯を巻くのを手伝ってくれた。全身に包帯を巻きジャージと長袖のTシャツで覆った。顔は包帯を少なめにしてマスクをしてサングラスをかけた。U2の帽子をかぶって駅までゆるゆるとあるく。これから暑くなる予感がするが、早い朝の空気はひんやりとしていて救...
死をぼんやり考えるとホームページを更新するのはどうでもいいように思えたが『ワイプ』検索結果で赤いメガネマークがついて嬉しかったのでとりあえずその日まで続ける事にした。なんであれ目標があることは生き延びられる。死んでからホームページが発見されるのも悪くない。 Macに、明日の...
じっとりと暑い空気を浴びてコンビニへ向かった。暑さから意識をはずしていて麻痺させていたが、包帯の下に汗がぶわっと吹き出て気が狂うほど気持ち悪い。スニーカーをつっかけて永遠とも思える道のりをよろよろと歩いた。すれ違う主婦らはぼくをちらっと見るがすぐに目線をそらす。タバコ屋の前...
蒸し暑い梅雨のはじめの夜。ガクダイ駅を降りて、近くの路地にある中華食堂で日替わり定食をビールで流し込んだ。雑誌を読むふりをして15分をかけた。今日も生き延びることができたが、生き延びる以外にできることがない。手足、身体にワセリンを大量に塗って包帯を巻いてシャツとズボンをはいて...
やたらに冷たい小雨の降る春の朝、病院の前でバスを降りると傘の群れに圧倒された。びしゃびしゃとクルマが行き交う音を聞きながらしばらく立ち尽くす。目の前を外来にむかう患者とその家族らが無言で通りすぎていく。皆、足元を見ているので目が合わなくて助かる。このまま水たまりにへたりこん...
2000年に理不尽な大病にひと区切りをつけ、40歳を過ぎて大学に行き直すことにして、それまでの時間を取り戻せるのかと思い、走るように過ごしてきた。流れの中で仕事の内容は徐々に変化し、いま、ここにいる。だから私は、まだ、20歳そこそこの気持ちでいるのかもしれないが、身体はその頃のように...
作品梗概 「リバウンド」ぼくは『ワイプ』を発症していた。“上手につきあいなさい”と医者に標準治療『セラ』を長きにわたって処方されるが改善せず難治化し人生に苦闘する。薬漬けの破滅を感じ『セラ』を止めるとすぐさま爆発的な反動悪化“リバウンド”に襲われた。全身のヒフが剥げ落ち浸出液...
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