出会えたことに感謝

住まいは、単に生活する場所ではありません。
それは、その人の心と体、そして「その人らしい生活」そのものを支える基盤です。
しかし日本では、住環境が心身や生活に与える影響の重要性は、まだ十分に認識されているとは言えません。片づけにおいても、「きれいにすること」や「早く片づけること」が優先され、その人の背景や心にまで目が向けられる機会は多くないように感じています。
そんな中、フランス・パリには、まさに私が長年理想としてきた「住まいから心身と生活を守る支援」が、専門職として存在していました。
先日、中央法規 地域保健ネットサロンのオンライン勉強会で、パリ市住宅部門に所属する専門看護師、フロリアンさんのお話を聞く機会がありました。
パリ市の住宅部門専門看護師は、行政機関に所属し、住宅に起因する健康問題や、ため込み症、いわゆるゴミ屋敷化などの課題を抱える住民の自宅を訪問し、支援を行う地域保健(パブリックヘルス)の専門職です。
福祉、医療、行政の境界領域で活動し、「住まい」という視点から住民の心身の健康と生活を守る役割を担っています。
私は、このような専門職が制度として存在していることに、大きな驚きと同時に深い共感を覚えました。
なぜなら、私自身もこれまで、住環境が極度に悪化した高齢者の方と対話を重ねながら、安全で安心できる生活環境を取り戻すための整理支援に取り組んできたからです。
私は看護師ではないため、医療的な評価を行うことはできません。
しかし、支援の中で常に大切にしてきたのは、「物」ではなく「人」に向き合うことです。
なぜ捨てられないのか。
何に不安を感じているのか。
どのような人生を歩んできたのか。
そして、これからどのように暮らしていきたいのか。
その人の心身の状態や生活の背景を理解しないまま片づけを進めても、本当の意味での環境改善にはつながりません。
無理に整えられた空間は、安心を生むどころか、不安や喪失感を生み、再び元の状態に戻ってしまうこともあります。
片づけとは、単に物を減らすことではなく、「心」と「生活」を整えていく過程でもあるのです。
今回のお話の中で特に印象的だったのは、パリでは、支援の過程において十分な対話の時間を確保していること、そして行政の住宅部門、ソーシャルワーカー、医療職などが連携しながら支援を行っているという点でした。
それはまさに、私が10年近く理想として思い描いてきた支援のかたち、そのものでした。
住環境の悪化は、単なる片づけの問題ではありません。
それは、身体機能の低下、認知機能の変化、孤立、不安、喪失体験など、さまざまな要因が重なって起きている生活の課題です。
だからこそ、必要なのは「物を片づけること」だけではなく、その人の心身と生活全体に目を向けた支援です。
住まいが整うことで、転倒などの危険が減るだけでなく、安心感が生まれ、生活への意欲が戻ることもあります。
それは、その人の尊厳を守り、「その人らしい生活」を支えることにつながります。
今回の学びを通して、これまで自分が大切にしてきた支援の方向性は間違っていなかったのだと、あらためて確信することができました。
日本では、住環境から心身と生活を支える支援は、まだ十分に認知されているとは言えないかもしれません。
それでも、この大切な視点をこれからも伝え続け、一人ひとりに寄り添いながら支援を続けていきたいと思います。
住まいは、その人の人生を映す場所であり、
心身と生活を支える、かけがえのない基盤なのです。
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