中古住宅購入時にかかる不動産取得税とは?

相澤和久

相澤和久

テーマ:不動産


中古住宅を購入する際、意外と見落としがちなのが「不動産取得税」です。
物件購入の決済を終えた後、約3か月後に納付書が届きます。

不動産会社からの事前説明がないこともあり、突然の請求に驚く方も少なくありません。

不動産取得税は購入時の直接的な費用ではないため、不動産会社が案内しないケースもあります。

しかし、少なくない税額となるため事前に知っておくことが大切です。

本記事では、不動産取得税の基本や計算方法、減額制度について詳しく解説します。

不動産取得税とは?誰が支払うの?

不動産取得税とは、不動産を取得した際に1回だけ課される税金です。
売買による取得の場合、購入者(買主)が支払う義務があります。

また、売買以外の取得(例:贈与)でも課税対象となります。
ただし、相続による取得は非課税です。

不動産取得税の税率と計算方法

不動産取得税の税率は以下のとおりです。

  • 土地:3%
  • 建物:3%(本来4%だが、軽減措置により3%)

例えば、固定資産税評価額が5,000万円の場合、税額は以下のように計算されます。

5,000万円 × 3% = 150万円

ここで注意すべき点は、不動産取得税の計算基準となるのは「売買価格」ではなく「固定資産税評価額」という点です。
売買価格とは異なることにご注意ください。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は、市役所や都税事務所で取得できる「評価証明書」に記載されています。
ただし、誰でも取得できるわけではなく、不動産の所有者や借地人などの利害関係者に限られます。
そのため、中古住宅購入時には、不動産会社に評価証明書を見せてもらうのが一般的です。

不動産取得税の軽減措置と適用条件

不動産取得税には、一定の要件を満たせば土地、建物それぞれ減額措置が適用される制度があります。
詳細はここでは触れませんが、主な要件は下記の通りです。

  1. 自分の居住用として取得(投資用は対象外)
  2. 昭和57年1月1日以降の建築、または新耐震基準に適合
  3. 床面積が50㎡以上

例えば、新築住宅の建物の場合、評価額から1,200万円が控除されます。
評価額が1,500万円なら、(1,500万円 - 1,200万円)× 3% = 9万円 となります。

実際の税額を簡単に計算する方法

不動産取得税を正確に計算するには、以下の情報が必要です。

  • 固定資産税評価額(評価証明書を取得)
  • 税率と計算式
  • 建物の全部事項証明書(建築年)

各自治体のウェブサイトには、便利な計算ツールが提供されていますので、そちらを利用すると簡単に税額を確認できます。

ここでは私が愛用している都税事務所のサイトをご紹介します。
リンク

申請しないと減額されないケースに注意!

原則として、軽減措置が適用される場合は、自治体が自動で減額した後の税額を通知します。

しかし、「新耐震基準に適合している」ことを理由に減額を受ける場合は、自分で申請を行う必要があります。

自治体ごとに申請期限が異なり、例えば神奈川県では取得後10日以内、東京都では30日以内と定められています。

必要書類には、建築士の証明が必要なものもあるため、事前に確認して準備を進めましょう。

中古住宅の諸費用が売買価格の○%とされる理由

中古住宅を購入する際、諸費用として「売買価格の6~8%程度」と言われることがあります。

これは以下の要因によるものです。

・売買価格が基準となる費用

  • 仲介手数料(約3%)
  • 売買契約書の印紙代


・固定資産税評価額が基準となる費用

  • 不動産取得税
  • 登記費用(登録免許税)

売買価格が同じ物件でも、固定資産税評価額は物件ごとに異なるため、一律のパーセンテージで計算することができません。
そのため、「諸費用は○%程度」といった表現が使われるのです。

まとめ

中古住宅を購入する際には、不動産取得税が発生することを考慮し、計画的に資金を準備することが重要です。

また、軽減措置を活用することで、税額を大幅に抑えられる可能性があります。
事前に評価証明書を確認し、自治体の計算ツールを利用することで、正確な諸費用を把握しましょう。

不動産取得税の詳細については、各自治体の公式サイトをチェックしてみてください。

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相澤和久
専門家

相澤和久(行政書士)

行政書士相澤和久事務所

不動産売買やファイナンシャルプランナーの豊富な知見を活用し、資産管理と遺言書作成などの相続対策から、遺言執行、不動産の売買までトータルにサポート。ライフサイクルに合わせた人生設計を後押しします

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