外壁塗装の色あせや変色は塗り替えのタイミング
「外壁塗装をしてまだ2~3年しか経っていないのに、塗装に浮きや剥がれが出てきた」。
こうした場合、施工不良の疑いがあります。
経年劣化と施工不良による劣化
塗り替えリフォーム専門店アイビーリフォーム代表親方の小口哲司です。
家の外壁塗装は、家を守る、外壁を保護する、という重要な役割を担っていますが、1年365日、太陽の光を浴び、雨や風に打たれています。そのため、どうしても経年劣化が生じます。
外壁塗料には、ウレタン系、シリコン系、フッ素系などさまざまな種類がありますが、各塗料の耐用年数は「この年数なら十分、耐えられる」と各メーカーが耐用試験等に基づいて公表しているものです。実際にはもっと長い期間、耐え得る場合もありますし、環境によっては、メーカーが示した耐用年数より若干早く、塗り替えの時期が来る可能性もあります。
「自分の家の外壁は大丈夫だろうか?」と気になった際、どなたでも簡単に現状を確認する方法があります。
外壁に手のひらをあてて、スーッっと表面を撫ぜてみて下さい。
手のひらに黒い汚れがついた場合、それは車の排気ガスや埃などが外壁についている証拠です。塗料そのものに劣化が生じているわけではないと考えられます。
しかし、手のひらに白いチョークの粉のようなものがついた場合は、塗料が劣化していることを示すサインです。「チョーキング」と言われる現象です。
チョーキング現象は塗料の耐用年数とおおいに関係します。塗装後、2~3年でチョーキング現象が現れる、まして、外壁塗装が剥がれてくるという場合、塗料の経年劣化ではなく、施工の不手際、施工不良が疑われます。
外壁塗装の施工不良とは
外壁塗装は、単に家の壁に色を塗るというものではありません。専門的な技術や知識、そして、「お客様のために」という職人の誇りが大きくものを言う仕事です。
どういうことかと言いますと、塗装をきっちり行うためには、その下準備がとても大切なのです。下準備がしっかりできていないと、いくらよい塗料でもその性能を発揮できませんし、本来の塗装が行なうことができないのです。
下準備の一つに、塗装面の洗浄があります。
家庭用の洗浄機をイメージして頂けば分かりやすいとおもいますが、水に圧力を加えて噴出し、塗装面の汚れを落とします。しかし、外壁塗装のプロが使用する洗浄機は、噴出する水の圧力が家庭用のものとは違います。非常に高い圧力で水を噴出し、塗装面の汚れを落すのです。専門業者に外壁塗装を依頼した場合、見積書に「高圧洗浄費」という項目があるはずですが、まず「高圧洗浄」をして、塗装面をきれいにします。
次に、「ケレン」という作業があります。
高圧洗浄をていねいに行なっても、外壁の古い塗膜などが残っていると、その後の塗装にさしさわりがあるからです。専用のブラシや工具を使って、古い塗膜を除去し、外壁表面を滑らかにします。また、外壁に小さなクラック(ひび割れ)がある場合には、その補修も行います。
さて、その後、すぐに塗料を塗るか、と言えば、そうではありません。まず、シーラー、あるいは、プライマーと呼ばれるものを塗ります。「下塗り剤」とお考え下さい。
この下塗りは非常に重要で、その後に塗る塗料と外壁を密着させる役目、外壁と塗料の接着剤のような役目を果たします。この下塗りの上に塗料を塗り、その後もう一度、塗料を塗ります。
外壁塗装には「下塗り」、その上に塗料を塗る「中塗り」、そして、さらに塗料を塗る「上塗り」、この3つの工程があるのです。
外壁塗装の施工不良は、いまお話した「高圧洗浄」、「ケレン」など、塗装に入る前の下準備を一つひとつきちんと行っていないことを指します。
とくに「ケレン」については、職人としての経験、技術、また、後工程に対する目配りというものがなければ万全の作業をすることはできません。
剥がれがおきるタイミング
外壁塗装の塗料について各塗料メーカーは、製品ごとに基準塗布量や適切な塗装方法を決めています。たとえば、塗料を水またはシンナーで希釈する場合の比率、硬化剤と混合する場合の塗料と硬化剤の比率、塗料の量、塗装回数、塗装後、次の塗装に入るまでの乾燥時間など指定は多岐にわたります。こうした規定を守り、均一にムラなく塗装することで、塗料本来の性能が発揮できるわけです。この「本来の性能」には、当然、耐用年数も含まれます。
先にお話したチョーキング現象は、太陽の紫外線の影響で塗装面の中にある樹脂が分解して起こるものです。チョーキング現象が現れたと言っても、早急に塗り直しが必要とは言えませんが、放置しておくと、塗装の剥がれや、浮きにつながります。
チョーキング現象が現れてからどのくらいの期間で塗装の剥がれや浮きが生じるかについては、前回の塗装時期、使用塗料などのデータと現状を調査して判断することになります。