就業規則を分かりやすく解説した「職場のルールブック」を策定し、人材の定着を目指す（2/3）

転職ブームの今、福利厚生を充実させた職場のルールブックで離職率を減らす

　職場のルールブックは、読みやすい文章と具体的な事例、テーマに沿った挿絵などで会社の決まり事を紹介しているのが特長。管さんは、就業規則の作成義務がない10人未満の事業所でも、従業員全員に配布することを推奨しています。

　「キャリアアップのための転職や、新たな知識やスキルを身に付けるリスキリングが活発な今、人を集めるには、お金をかけるか待遇面を充実させるしかありません。リソースが乏しい中小企業は、働く人が喜ぶ福利厚生を内容に盛り込むことを提案しています」

　当初は、人手不足が深刻な介護・福祉施設や医療機関での導入が中心でしたが、次第にさまざまな業種へと広げていきました。
　「県内の社員50人規模の建設会社では、『新入社員の半数以上が早々に退職し続かない』とお悩みでした。3カ月かけてルールブックを制作し、私が全社員に向けて解説したところ、『これは分かりやすい』との評価をもらいました。その後、離職率は2割程度まで下げることができ、手応えを感じましたね」

　フットワークが軽く、きめ細やかな対応が身上の菅さんは、企業の採用面接に同席することも。
　「ある自動車販売会社では、整備士の資格取得に対して助成制度があることをアピールする一方で、仕事の厳しさについても触れておくことで、定着率を上げることができました。デメリットについては口をつぐむ担当者は多いですが、メリットとともに事前にしっかり共有することで、入社後のギャップを減らすことができます」

＜次ページへ続く＞

【次ページ】家業からの独立、自身のストレス倒れによる緊急入院の逆境の中で資格を取得し、社労士会副会長も歴任

次のページへ