特許のロイヤリティーの相場は3.7%。ただしバイオ・製薬は高利率も
特許があれば融資獲得が容易に
特許権は、自社が持つ技術やアイデアを守るだけでなく、他にも有効活用できる可能性があります。
そのなかのひとつに、金融機関からの融資獲得におけるメリットがあります。
特許などの知的財産の保有が強みとなり、資金獲得がスムーズになる可能性があります。
一般的に、特許権を始めとする知的財産権は、企業の競争力や事業の優位性につながります。実際に権利の保有が、融資の獲得に有利に働くケースもあります。
しかしながら、特許庁による調査(平成25年度「中小企業の知的財産活動に関する基本調査報告書」)によると、現状ではまだまだ知的財産権の保有が資金獲得を容易にしてくれるケースは多くないようです。
近年ではこうした現状を打破して、知的財産権が融資獲得に有利に働くような仕組みづくりが急速に進められています。
特に、特許などの知的財産権を担保にして融資を受けられる「特許担保融資」の普及が加速しています。
特許担保融資の普及にあたって
特許担保融資の普及促進にあたっては、いくつかの課題があります。
仮に特許を担保として金融機関が融資を行う場合について考えてみましょう。
金融機関は融資にあたって、その特許の正確な価値を評価しなければなりません。また企業側でも、特許の価値や将来性を論理的に説明しないといけません。
こうした知的財産の評価におけるノウハウが、金融機関にも事業者にも不足しているのが現状です。
特許庁では、特許担保融資の普及促進のため、2014年より中小企業への支援の取り組みをスタートさせています。
特許庁から中小企業に対して、知的財産権の資産評価などに関する専門家を派遣。また、融資判断のための「評価書」の作成も代行するなどの支援策を行っています。
特許担保融資を受けるためのポイント
特許を持っているからといって、それがすぐに融資に有利に働くわけではもちろんありません。担保として適格な特許であるかを判断する3つのポイントを紹介します。
まずは権利の安定性が重要です。
担保の対象となる特許が、異議申立てや無効審判請求などを受ける心配がないか、また複数の主体によって共有されている特許権の場合は、権利の行使や処分に際しての制限はないか等、が判断されます。安定性に欠ける権利であれば担保化は困難と言えます。
次に、担保の対象となる特許が実際の事業において収益、競争力の源泉となっている必要があります。いくら革新的な技術でも、収益を生まないものでは担保には不適格とされます。
最後のポイントは、その特許に将来性があるかどうかです。長期にわたって収益を生み続けることはもちろん、もし仮に事業が破綻に陥った際であっても担保処分、第三者への権利移転が可能であるということも求められるのです。