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【屋根屋の本音】その屋根、あと何回塗りますか?

瀧澤豊

瀧澤豊

テーマ:屋根の塗装



盛岡市で屋根工事を専門にしている瀧澤屋根工業です。

先日、うちのホームページに「その屋根、あと何回塗りますか?」というページを作りました。
築年数と屋根材を選ぶと、これから30年でいくらかかるかが出てくる計算ページです。

作ってみて、あらためて自分でも驚きました。
30年という長さで見ると、答えがひっくり返るんです。

今日はその中身を、コラムのほうにも書いておこうと思います。



先に線を引いておきます。塗装が悪いわけではありません

こういう話を屋根屋がすると、「結局、高い工事を売りたいだけだろう」と思われます。
当然だと思います。

なので、はじめにここをはっきりさせておきます。

塗ったほうがいい屋根は、確かにあります。

- 築15年くらいのスレート屋根
- 割れや欠けがほとんどない
- 下のルーフィング(屋根材の下に敷いてある防水シート)がまだ元気
- あと10年ほど住んで、そのあと家をどうするか決めたい

こういうケースなら、塗装はいい選択です。私も普通におすすめします。

問題は、築20年、25年を過ぎた屋根に、同じ判断をしてしまうことです。
ここから先は、計算が合わなくなってきます。




その屋根、あと何回塗れますか

計算してみます。盛岡でよくある、30坪くらいのお宅のスレート屋根で考えます。

屋根塗装1回の相場

- シリコン塗料で、30坪でだいたい50万〜60万円
- 塗料の耐用年数は、ウレタンで7〜10年、シリコンで10〜15年、フッ素で15〜20年

つまり、シリコンなら10年ちょっとで、また同じ工事が回ってきます。

いま築20年だとして、そこから30年でどうなるか。

- 20年目:1回目の塗装 → 約60万円
- 35年目:2回目の塗装 → 約70万円
- 50年目:3回目の塗装 → 約80万円

合計、約210万円。

一方、いま1回だけ工事をした場合はこうなります。

- カバー工法(今の屋根の上に新しい金属屋根をかぶせる):10万〜180万円/30〜40年もつ
- 葺き替え(古い屋根を全部はがして新しくする):120万〜200万円(スレート→ガルバリウムの場合)/30〜40年もつ

3回塗って210万円か、1回やって30年ほったらかしにできるか。同じくらいのお金で、中身がまるで違います。




そして、ここが一番大事なところです

3回塗っても、雨漏りは止まりません。

これは意地悪で言っているのではなく、屋根の仕組みの話です。

スレート屋根は、板が2〜3枚重なっています。実は、雨を止めているのは表面の板ではありません。
その下に敷いてあるルーフィングという防水シートが、雨水を受け止めています。

だからスレートが1枚割れても、すぐには雨漏りしません。逆に言うと、

ルーフィングが破れたときに、雨漏りが始まります。

そのルーフィングの寿命は、一般的に20〜30年ほど。
安い住宅で使われている「アスファルトルーフィング940」という安いタイプだと、
20年ほどで性能が落ちてきます。

そして塗装は、屋根の表面にしか触れません。
ルーフィングには一切さわらない工事です。

つまり、こういうことになります。

- 塗る → 表面はきれいになる → でもルーフィングは古いまま
- 10年後、また塗る → 表面はきれいになる → ルーフィングはさらに古い
- 20年後、また塗る → 表面はきれいになる → ルーフィングは限界

きれいな屋根から、雨が漏ります。
何度も現場で見てきました。

カバー工法や葺き替えなら、ここに新しいルーフィングが入ります。これが、値段以上に大きな差だと私は思っています。



そもそも「塗ってはいけない屋根」があります

これは知らないまま塗ってしまう方が本当に多いので、はっきり書いておきます。

1990年代の後半から2000年代にかけて、屋根材はアスベストを使わない製品に切り替わりました。
ところが、この切り替え時期の一部の製品は、耐久性が十分ではありませんでした。

代表的なものがこちらです。

- クボタ「コロニアルNEO」
- ニチハ「パミール」
- 「スペリアルNEO」

これらに出るのが「層間剥離」という症状です。屋根材そのものが、ミルフィーユのように層になってめくれてきます。

こうなると、どんなに高い塗料を使っても、塗膜が屋根材ごと剥がれます。
屋根材の側が壊れているので、上から塗っても意味がないんです。

この屋根に塗装をすると、その工事費はまるごと無駄になります。

該当するのは、カバー工法か葺き替えのどちらかです。築20〜28年くらいで、屋根の先端がボロボロと欠けてきているお宅は、一度見せてください。



岩手・盛岡だと、もう一つ事情があります

ここまでは全国どこでも同じ話です。ここからは盛岡の話をします。

1. 凍害があります

塗膜の細かい隙間に水が入り、それが凍って膨らみ、また溶ける。これを毎年くり返します。盛岡はこの凍結と融解のサイクルが多いので、暖かい地域と同じ耐用年数では考えないほうがいいです。カタログの「13年」が、こちらでは10年前後になることがあります。

2. 塗れる季節が短いです

塗装は、気温5℃以下や湿度85%以上では施工できません。盛岡だと、しっかり塗れるのは実質4月下旬から10月までです。冬に「今なら安くします」と言われても、その季節に無理に塗った塗膜は長持ちしません。

3. すが漏れは、塗装では絶対に直りません

軒先にできた氷が水をせき止めて、屋根の内側に水を回してしまう。盛岡でおなじみの「すが漏れ」です。これは屋根の納まりと断熱の問題なので、表面を塗っても1ミリも改善しません。ここは何度でも言っておきたいところです。

4. トタン(瓦棒葺き)の錆は、塗装で止まるのは最初のうちだけ

うっすら浮いている段階なら、塗ってしばらくもちます。ただし錆が板を貫通して穴が開いていたら、塗装は延命にもなりません。錆は表面ではなく、板の裏側から進んでいることが多いんです。



2026年、計算がさらに変わりました

もう一つ、今年になって起きたことがあります。

中東情勢とナフサ(石油から作る原料)の値上がりで、建築の材料が軒並み上がりました。2026年8月時点で、うちが実際に仕入れている感覚がこちらです。

屋根まわりの材料

- ルーフィング材:45%前後アップ
- 金属屋根材:全体で20%前後アップ(メーカーによって幅があり、アイジー工業は15%前後、ニチハも15%前後)
- アスファルトシングル:25%前後アップ
- 雨どい(塩ビ系):20%前後アップ

塗装まわりの材料

- シンナー:70%前後アップ(大手メーカーが75%上げたケースも)
- 水性塗料:20〜30%アップ

一番上がっているのがルーフィング材だというのが、現場をやっている人間からすると象徴的です。一番大事なのに、一番目立たない材料が、一番上がっているわけです。

そして、この値上げが効いてくるのは屋根材だけではありません。塗装も同じように上がっています。ということは——

塗装は10年ごとに、この上がった価格で何度も払い続けることになります。

1回で30年もたせる工事なら、値上げにぶつかるのは1回だけです。10年ごとに塗る選択は、これから先の値上げに何度もつき合うことになる、ということでもあります。



現場で見てきた実例

築26年、紫波町のコロ二アル

「そろそろ塗り替えの時期だと言われた」というご相談でした。屋根に上がって手で触ると、先端が指で剥がせる状態。これは塗る屋根ではありません、とお伝えしてカバー工法をご提案しました。


築40年、盛岡市の瓦棒葺きのトタン屋根

過去に2回塗ったとのこと。ただ屋根の谷部分が特に錆びて、そこから雨が回っていました。塗装3回分のお金があれば、20年前に葺き替えが済んでいたケースです。





よくある質問


Q. カバー工法と葺き替え、どちらがいいですか?

下地が生きていればカバー工法、傷んでいれば葺き替えです。値段で決めるものではありません。うちは瓦も板金も両方やるので、どちらかに誘導する理由がありません。

Q. 屋根が重くなるのが心配です

カバー工法で使う金属屋根はとても軽いです。スレートの上に金属をかぶせても、瓦屋根よりずっと軽く収まります。1tくらいになります。

Q. 今年は値上げが続いていますが、急いだほうがいいですか?

「値上がりする前に今すぐ契約を」と急かす業者には気をつけてください。焦って決めるより、相見積もりを取って落ち着いて選んだほうが、結果的に得をします。




まとめ

- 屋根塗装1回でもつのは15年くらい
- 30年で3回塗ると、合計200万円前後になる
- それでもルーフィングは1回も新しくならない
- パミール・コロニアルNEOなど、塗ってはいけない屋根がある
- 盛岡は凍害があり、塗れる季節も短い。すが漏れは塗装では直らない
- 2026年は材料が軒並み値上げ。ルーフィング材45%前後、金属屋根材20%前後、アスファルトシングル25%前後、塩ビの雨どい20%前後
- 10年ごとに塗る選択は、これから先の値上げに何度もつき合うことになる

その屋根、あと何回塗りますか。


この質問に、ご自身で答えを出してみてください。あと1回なら、塗装でいいと思います。あと2回、3回という答えになったなら、一度立ち止まって計算してみる価値があります。


[その屋根、あと何回塗りますか?](こちら)

うちは塗装屋ではなく、屋根そのものを扱う屋根工事の専門店です。だからこそ「塗ったほうがいいですよ」とも「塗っても無駄です」とも、その屋根を見てからありのままにお伝えできます。ドローンだけで済ませず、職人が実際に屋根に上がって、目と手で確かめます。

当社では現地調査・ご相談は無料で対応しております。

気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
WEBサイト


以上、瀧澤屋根工業 代表のタキサワでした。


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瀧澤豊
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瀧澤豊(屋根工事業)

瀧澤屋根工業

屋根は生活に無くてはならないものです。だからこそ安全性が高く、安心して暮らすことができる屋根をつくりたい。長年培ってきた知識・技術・経験をいかし、お客様のニーズに合った屋根づくりをご提供します。

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