歯列矯正中・インプラント治療途中の引っ越し、どうする?
舌が痛くなる原因は一つではなく、非常に多岐にわたります 。 診断においては、まず命に関わる舌がんなどの大きな病気がないか、あるいは入れ歯や歯の詰め物が当たって傷ができていないかなどを慎重に確認することから始まります 。
1. 目に見える変化や明らかな原因があるもの
舌の表面を観察したり、検査を行ったりすることで原因が特定できる病気です。
ハンター舌炎
ビタミンB12や葉酸が不足して起こる貧血に伴う炎症です 。舌の表面が赤くツルツルになり、痛みや熱い感じがします 。ビタミンB12の投与で改善します 。
プランマー・ビンソン症候群
鉄分不足(鉄欠乏性貧血)により、飲み込みにくさや口角炎と一緒に舌の炎症が起こります 。これも舌が赤くツルツルになるのが特徴で、鉄剤で治療します 。
口腔カンジダ症
お口の中に常在しているカビ(カンジダ菌)が増殖して起こります 。特に、舌が赤く平らになる「萎縮性カンジダ症」では痛みが現れます 。抗真菌薬が有効です 。
亜鉛欠乏
亜鉛が不足すると味覚障害が起きるほか、舌の違和感や痛みとして現れることがあります 。カキやしじみなど、亜鉛を多く含む食材の摂取や補給で改善します 。
口腔乾燥症(ドライマウス)
唾液が減ることで起こります 。糖尿病などの全身の病気や、薬(抗うつ薬や睡眠薬など)の副作用が影響していることもあります 。保湿剤や人工唾液などで対応します 。
2. 神経に関わる痛み
痛みの場所や状況によって、神経の問題が疑われる場合があります。
神経痛
片側だけが痛む場合、三叉神経痛や帯状疱疹(ヘルペス)のあとの神経痛などが検討されます 。
神経障害性疼痛
過去の手術や怪我が原因で神経がダメージを受けている場合に起こります 。
3. 「舌痛症(ぜっつうしょう)」とは
上記の、目に見える異常や明らかな原因がすべて否定された場合に診断されるのが舌痛症です 。
特徴:40歳以上の女性に多く、心理的ストレスとの関連や、口の乾き・味の違和感を伴うことが多いのが特徴です 。
見分け方:「食事をしている時は痛みが和らぐ」という場合、舌痛症や口腔乾燥症の可能性があります 。
最新の考え方:かつては「心の病(心因性)」と考えられてきましたが、近年では神経の微細な変化やドーパミンという物質の関与など、脳や神経のメカニズムによる痛みであるという証拠も報告されています 。
診断のチェックポイント
診断では以下の項目を順番に確認していきます。
- 見た目: 炎症、腫瘍(がん)、傷、カビ(白苔)はないか 。
- 範囲: 片側だけか、両側か 。
- 状況: 食事の時に痛みは変わるか。
- 背景: 血液検査(鉄、亜鉛、ビタミン)や、飲んでいる薬の影響はないか 。
舌は非常に繊細な場所であり、多くの神経が関わっています 。原因に合わせて、薬の調整や栄養補給など、多角的な治療が必要となります 。
気になる症状がある場合は、まずは歯科や口腔外科を受診し、検査を受けてみてください。



