歯科医院雑感
当院では、通院されている患者さまのうち40%以上が「予防・メインテナンス」を目的に来院されています。
とくに近年は「県外から引っ越してきたが、これまで通り定期的なメインテナンスを受けたい」といったご相談も増えております。
そこで本稿では、当院が提供している基礎的なメインテナンスプログラムの概要と、わが国の保険診療制度との関わりについて改めてご説明いたします。
目次
1. 保険診療の原則は「病気の治療」
歯科の保険診療は、むし歯や歯周病など「病気の治療」を目的としています。
そのため、明らかな病変がない、あるいは該当疾患がすでに治癒している状態において、予防のみを目的とする処置は、保険診療としての算定要件を満たしません。
この点は、2015年に経済産業省が公表した「グレーゾーン解消制度」においても明確に整理されています。
2. 保険でメインテナンスが認められる場合
ただし、一部のメインテナンスについては「疾患の治療の一環」として保険診療で実施されるケースがあります。
■ 歯周病治療後のメインテナンス
すでに歯周病と診断され、歯周基本治療(SRP等)を終了した後に、再発のリスクが高いと判断された場合、予防を目的とした定期的な管理が保険診療として認められることがあります。
■ むし歯リスクが高い方へのメインテナンス
- むし歯のリスクが非常に高い方
- 全身疾患などにより口腔衛生環境への悪影響がある方 など
個別の事情により、当該疾患の「治療の一環」として位置づけられる場合には、保険診療として認められる可能性があります。
3. 保険診療における回数・内容の制限
歯周ポケットの測定や口腔内写真撮影などの検査結果を根拠として、保険診療上、診断や治療が必要と判断された範囲内に限られます。
実施されるメインテナンスの内容は、「療養担当規則」等に基づき、総合的に判断されます。
インプラント部位の管理や矯正治療中のメインテナンスなどは、保険の対象外(自費)となります。
4. 自費メインテナンス(自由診療)のメリット
期間・回数の制限なし
ご希望に応じた頻度で通院・クリーニングが可能です。
より精密なクリーニング
エアフローなど、保険適用外の機器や薬剤を使用します。
口腔全体のトータルケア
インプラントのトラブルや生活習慣の相談など、幅広く対応可能です。
当院のメインテナンス(自由診療)プログラム
当院では、毎月1回のクリーニングを基礎的なメインテナンスと位置づけております。
施術内容や通院頻度は、口腔内の状態に応じてスタッフよりご提案いたします。
| 内容 | 金額(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| クリーニング1 | ¥4,400 | 定期的な月1回メインテナンス |
| リナメルケアまたは歯肉マッサージ | ¥1,100 | クリーニング後へのオプション |
| クリーニング2 | ¥5,500 | 3~5ヶ月未来院の方対象 |
| トリートメント1 | ¥8,800 | 初診または再初診の方(必須) |
| トリートメント2 | ¥8,800 | 6~12ヶ月未来院の方対象 |
| エアフロー(3回セット) | ¥33,000 | 月1回を3ヶ月連続で受診するプログラム |
ご注意
※1 上記金額はすべて税込です
※2 初診・再初診の方は必ず検査(¥8,800)からとなります。検査結果により治療をご提案することがあります
※3 上記は施術費のみです。再診料(¥330税込)は別途かかります。場合により、処置料がかかります
※4 エアフロー単回は¥11,000です。単回のみの施術も可能です
まとめ
「健康な歯を守るための予防メインテナンス」は、原則として保険診療の対象外です
ただし、歯周病治療後など、一部の条件を満たす場合に保険が適用されることがあります
純粋な予防目的でのメインテナンスをご希望の方は、自費のメインテナンスプログラムのご利用をご検討ください
とはいえ、「自分に必要な予防歯科とはどのような内容なのか」をご自身で判断するのは難しいものです。
まずは、かかりつけの歯科医院にご相談いただくことをおすすめいたします。
また、制度に関してより詳しく知りたい場合は、地方厚生局などの担当行政機関へお問い合わせください。




