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Master degreeとPostgraduate diplomaといえば、日本国内でも履修したり取得している人はかなり増えています。ただし、英国やオセアニア(豪州やニュージーランド)と北米(アメリカ、カナダ)で両者は意味合いが大きく異なりますので単純な比較はできません。
まずは、英国(英連邦)での取り扱いについて見ていきます。
英国では、Master degreeは通常''Master of 専攻''となる正式なdegree (学位)です。略称は存在せず単にMaster と言えば修士号を意味します。英国ではGraduate の身分であるBachelor (学士)だけで仕事や立場が向上することはなく、出世や良い待遇で仕事をしたいと願う場合、Master の取得を検討する人が多いようです。採用窓口の狭い仕事ほど求められる能力が多岐に渡るためMaster を複数取得している人も多いです。
一方、Postgraduate diploma は英国ではその学習レベルにおいてMaster degreeと同等です。唯一の違いが教育を実施する機関が大学の正規課程大学院なのか?そうでないのか?です。Postgraduate diploma は正規の大学院の準備コースまたは民間の非大学による生涯学習機関によるコースで開講されており、論文提出が必須ではありません。仮に論文を書くとしても大学院ほど厳密でないことの方が多く、アカデミックな文章を作ることよりも実践的な内容に傾倒しています。
英国において、両者の持つ意味合いは非常に似通っており主な専攻はアカデミックな内容も包括するMaster を、副専攻はより実践的なPostgraduate diploma と使い分けたり、専攻を深める目的で両者とも取得する人もいます。
いずれにせよ、どちらも高等教育を受けた証に違いはなく近年ではその意味合いの違いも薄れてきているようです。
対してアメリカ合衆国(北米圏)では、どうでしょうか?
アメリカでは、Master だけではdegree であることを必ずしも指さないということに注意が必要です。アメリカで言うところの修士号は"Master in 専攻"または"MS in 専攻"が正式名称です。略称もMSでありMaster ではありません。ちなみに、フランスやドイツなど他のヨーロッパの国々では修士号のことはMaster of Science と称することが多く、アメリカのいくつかの大学院ではヨーロッパと名称を揃えているところもあります。アカデミックかつ実践的な内容も包括しており、卒後教育としてそれなりのレベルが担保されているコースだということを示します。
一方で、Postgraduate diploma はアメリカではPostgraduate certificate と混合して使われることもあります。そのレベルはまちまちです。その多くはコースとしての内容も公式に検証されているわけではなく、単なる"私称"に過ぎません。Master certificate またはイギリスの'Master of 専攻名'のように紛らわしい名前でコースを開講している機関もあります。もちろん大学院の正規課程の準備コースとして中には高い人気と実力をもつ運営機関(組織)はあります。ただし、ほとんどの場合が実質的には私塾に過ぎず、修了してPostgraduate diploma を取得してもAcademic background にならないことの方が多いようです。
英国のインプラント勉強会の記事によれば、歯科医師が卒後教育を受ける意義について、Andrew Legg氏は次のように話しています。
「歯学部卒業後、資格を取得したばかりでは歯科基礎訓練(以前のVT)のみであって十分な臨床経験とは言えません。かつては、研修医を経て助手として一般診療や上級医に習い、数年して独立しました。今では歯科治療も高度な内容を含んでおります。矯正であれ、歯内療法であれ1人で居心地の良い状況で学ぶのではなく、同じ目的や意思を持った仲間と指導者の下で学ぶことがキャリアパスの助けになります。」
私は何らかの卒後教育は必要だと思っています。自分にとってアカデミックな内容を押さえておきたいのか、実践的なスキルが必要なのか。状況や目的に応じて選択していくことが大切かもしれません。