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マウスピース型矯正装置を始める前に

北條智之

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テーマ:マウスピース矯正 北上

インターネットやSNS上で、歯科医師が介在しないか、もしくは関与の不明確な形でのマウスピース型矯正装置の製品が販売されております。誤ったマウスピース型製品の使用は予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があります。近年では、研修や実習の修練が不十分なうちに一般保険診療の枠組みの中でマウスピース型装置を提案するケースもあります。矯正歯科治療は、正確な診断と詳しい治療計画に立脚して行われるべき医療行為であり、患者さん自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは歯科医学的に非常に危険です。

マウスピース型矯正による治療には、以下に挙げる欠点を踏まえ、なおかつ適応症の判断をつけてから使用するのが望ましいです。

欠点:
● 歯の移動量の少ない症例に限られる
● 毎日長時間の装着を前提とし、その管理方法によって治療効果が大きく異なる
● 小児や骨格性要因を含む症例には適さない
● 正確かつ精密な歯の移動は原則不可能であり、満足のいく治療結果が得られないこともある

もちろん、メリットも多くあります。ご自身だけで判断するのではなく、十分な臨床トレーニングと基礎的な教育を受けた歯科医師による診察を受けられることを推奨いたします。

当院でよく出会う疑問について簡単にご紹介いたします。

Q1)転勤が多く、矯正治療をはじめるタイミングがわかりません
Answer1)通常、マウスピース型矯正装置であれば通院の回数を減らすことができます。ただし、治療開始後1年程度は頻回の通院を要することもあります。マウスピース型矯正装置はシステム加盟歯科医院内での転院も想定されており、転居時継続して治療を受けることが可能です。

Q2)忙しくて通院できない
Answer2)通常、マウスピース型矯正装置は通院頻度を抑えることが期待できます。従来のブラケットタイプの矯正装置と比べ歯科医師の技量依存度が低く、ご自身で適切に使用・管理できる場合、望む治療効果が期待できます。

Q3)治療期間よりも、納得しながら進めたい
Answer3)マウスピース型矯正装置は歯へのダメージが少ないために、長期間の使用が可能です。治療期間は従来方法に比べて長くなりますが、ステップごとに治療計画を見直し、装置の再製作を行うことで納得しながら進めることができます。

マウスピース型矯正装置は、歯科医師への関与度が低く治療期間が長いことが特徴です。ご自分で治療工程を管理する能力と装置を使用し続けるモチベーションの維持が欠かせません。通院頻度が少なくてすみ、歯科医師への関与度も低いために、万が一、治療が想定通り進まない場合マウスピース型矯正装置単独ではリカバリーが難しいです。状況によってはマウスピース型矯正装置を放棄せざるを得ません。その際は、従来法などを含む別の治療方法を検討する必要がありますが、別途治療費がかかってしまいます。

マウスピース型矯正装置のデメリットや特徴について理解していただいたうえで、マウスピース型矯正治療を受けられることをお願いいたします。

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北條智之
専門家

北條智之(歯科医師)

北上インプラントデンタルオフィス

インプラント歯科学の権威、ウルリッヒ・ヨース博士の治療法を専門的に学んだ知識と3DCTなど先進設備で、グローバル・スタンダードな治療を心掛けています。

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