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健康は食事から

北條智之

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テーマ:健康

「健康は食事から」とは、主に食生活を見直したり、日々の献立を考える際に用いられる標語です。でも、そもそも食事そのものが当たり前である前提がないとどうでしょうか。

先週、私は2歳の息子の付き添いで3日間病院で寝泊まりしました。息子はウイルスの影響で口の中がただれてしまい食事はおろか、水も飲めなくなったからです。加えて40度以上の高熱が続くので、水が飲めないことは死活問題となり、そのため入院措置となったのです。その後、徐々に回復していきましたが固形物が食べられるようになるまで心配しました。看病をしている親として、高熱などが下がり容態が安定してくると入院中・退院後と「ご飯は食べられるようになるだろうか」がずっと関心事でした。

病院勤務をしていた頃を思い返しますと、手術後など歯科領域の場合、患者さんは食事がとれなくなることが常でした。そのため、私たちは食事の固さを気にしたり、ときには流動食の手も借りながら点滴以外で水分と栄養をとれるよう工夫していたのです。というのも、すごく簡単な話ですが、口から食事をとれるようにならなければ退院できず、日常生活に戻るのが遅くなってしまうからです。病気のため弱ってしまっても、日ごろから歯やお口の環境に気を付けている人達は本人の意思さえあれば、少しずつ食事をとることができるようになることが大半です。食事ができると様々な制約が取れてゆきますから、一層治療が楽になることは間違いありません。

一方で、患者さん本人に意思があっても、もともと歯がなかったり、歯ぐきが膿んでいてお口の状態が悪いために食事ができない場合があります。入院になるほどの大病のうえ、さらに食事がとれない状態での治療はより困難になる可能性があります。先日、当院に「体が元気なうちに、歯だけは治しておきたい」と来院された方がいましたが、今回私は、息子の入院を経験してあらためて食事がとれる環境を維持していくことの大切さを感じました。

できるかぎり、自らの口で食事をとれるようにしておくことは無駄な努力ではありません。体が弱り切ってしまってから、お口の治療を始めてもなかなか思うようにいきません。「予防で歯医者さんに通おう」は歯科業界で使われるキャンペーンですが、私は「元気なうちに歯科治療は終わらせておこう」と伝えたいです。お口の健康も、全身の場合と同じで弱い部分や負担をかけている部分から病気になることがあります。今は1本2本歯が悪くとも問題ありませんが、それが問題とならないままに過ぎ去ってくれるかは誰にもわからないのです。

普段、私たちは「入院するほどの大病」になったときまではあまり考えないものです。私だって、出会ってきた患者さんの全員が重篤な病になるだろうとまでは露にも思っていません。ましてや、現役世代の働き盛りにあっては多少の無理も難なくこなせてしまうものです。お口の健康も同じです。歯が1本2本なくとも、歯ぐきが少々腫れようとも、日常生活に支障はないはずです。息子はご飯が食べられるようになってからは、明らかに回復を実感してきました。食事をとることは、子どもだけでなく大人であっても欠かせないものです。声高にお伝えすることはなくとも、これからも「健康は食事から」を意識して患者さんと向き合っていこうと思います。

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北條智之
専門家

北條智之(歯科医師)

北上インプラントデンタルオフィス

インプラント歯科学の権威、ウルリッヒ・ヨース博士の治療法を専門的に学んだ知識と3DCTなど先進設備で、グローバル・スタンダードな治療を心掛けています。

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