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企業での実践と大学教授として研究してきた人的資源管理、組織行動論を基に人と組織を活性化

人と組織を活性化する人材育成のプロ

谷内篤博

谷内篤博 やちあつひろ

#chapter1

次代を担う人材育成や社員の意欲を引き出すトータル人事制度構築をサポート

 「大学で30年にわたって研究した理論と企業での実践を融合し、人材育成、人事制度構築、キャリアコンサルティングに取り組んでいます」と話すのは、実践女子大学名誉教授・谷内篤博さん。個人やチームを活性化する人的資源管理と組織行動論を専門としています。

 「これまでの人材育成は、新入社員から管理職まで全体的な底上げを図る階層別教育や、実務に直結するOJTが中心でした。しかし、グローバル化によって市場が世界に広がり、M&Aや事業の多角化によりグループ経営が本格化しています。人材格差が企業格差を生む時代を迎えており、早い段階で次世代リーダーや経営人材を選抜して計画的に育てる体制づくりが求められています」

 谷内さんは、人材マネジメントの根幹として「トータル人事制度」が必要不可欠になっていることを指摘しています。

 「職務に対する能力や成し遂げた業績を正しく評価するためのガイドラインを明確にし、昇進や昇格、賃金、賞与、人員配置、教育といったトータル・コンペンセーションに連動させます。従来の年功序列から成果主義へという流れの中で、取り入れる企業が増えています」

 社員にとっても、自分のどんなパフォーマンスが評価され、報酬や昇進にどのように反映されるのかが分かりやすく、人事に対する納得性を高める利点があると説明します。

 「人事制度は、人が人を評価するため主観が入りやすいものです。主観は決して悪いものではありませんが、時に不満を生むこともあるため公平性や透明性を担保することが肝要です。当方は社員の意欲を引き出す仕組みを提案します」

#chapter2

女性のキャリア支援に携わりたいと、社会人大学院で学び40歳で大学教員に

 谷内さんは1978年に早稲田大学を卒業後、クレジット系上場企業の人事部で人材育成や人事制度の構築などに従事。1987年に大手シンクタンクに転職し、コンサルを担当したのを縁に、チケット販売や出版事業を手掛ける「ぴあ」で総務本部副部長に着任しました。

 「ぴあは当時としては非常に自由な社風で女性編集長が多く活躍し、これからの時代、女性が企業にとって貴重な戦力になると確信しました。前職では女性社員を部下として見ていた自分の視野の狭さを反省し、女性のキャリアを支援したいと思い、大学教育に携わることにしたのです」

 40歳で大学教員になることを目指して、1992年、38歳で筑波大学大学院へ入学。カウンセリングを専攻しました。

 「まだ言葉こそなかったものの、今後ストレスマネジメントの視点が人的資源管理の領域で必要になると考え、臨床心理学が強かった筑波大学を選びました。一流の教授陣のもと優秀な学生とともに学ぶことができ、大変有意義でした」

 大学院を修了後、計画通り40歳で文京女子大学(現、文京学院大学)の経営学部の大学教員に転身し、2012年に実践女子大学人間社会学部の教授に就任しました。

 「実践女子大では、学生が実社会で役立つ専門知識を身に着けて自分の武器にできるよう、徹底して教育しました。1週間に2回、約6時間に及ぶゼミで私と討論し、『地獄の谷内ゼミ』とも言われました。4年間で問題の本質を探り、解決策を見いだす問題解決力やディベート力の養成に力を注いだことにより、コンサルティング会社や企業の人事部に就職した卒業生も多いですね」

#chapter3

学生のキャリア支援やリカレント教育の整備に尽力し、地域に貢献するため帰郷

 大学教員となってからも、谷内さんは上場企業の顧問や社外監査役として、人材育成や人事制度の設計に尽力。東京労働基準局では賃金相談員、東京地方労働審議会家内労働部会では公益委員をそれぞれ10年間務めるなど、公職も多く経験しました。キャリアコンサルティング技能検定では、国家資格試験が開設された時から検定委員を担ってきました。

 「大学では、学生支援システムを導入するプロジェクトを担当理事として主導しました。入学から卒業まで学生の成績推移、出席状況、キャリア指向などの情報をオンラインで一元管理し、学生一人一人のキャリア形成を個別的にサポートするエンロール・マネジメントを導入しました。アメリカの大学で行われていたものを、いち早く取り入れ運用しましたので、多くの大学から問い合わせがあり、視察に見えた大学もありました」

 生涯にわたって学習するリカレント教育に関しても、文科省の履修証明プログラム(実践キャリアアッププログラム)、専門講座、リカレント授業の3本柱から成るリカレント事業を立ち上げ、軌道に乗せました。

 個々のスキルを磨き、適正な評価でモチベーションを高め、人と組織を活性化してきた谷内さん。2024年に定年退職を機に、地域に貢献したいと故郷の石川県に戻ってきました。

 「人材マネジメントの根幹である人事制度を見直したい、また人材育成、組織開発がしたいという企業さまへの研修やコンサルティング、教育機関では学生が自らのキャリアビジョンを構築できるようキャリア形成に関する講義などで力になれますので、ぜひご相談ください」

(取材年月:2024年10月)

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専門家プロフィール

谷内篤博

人と組織を活性化する人材育成のプロ

谷内篤博プロ

大学名誉教授

 

上場企業の人事部や大手シンクタンクで人材育成や人事制度設計に従事。人的資源管理・組織行動論を専門に大学教員として30年間研究を重ねました。理論と実践を融合させて、人と組織の活性化をサポートします。

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