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際立つアイデア力で、ヒット商品をデザインする

アイデア力でヒット商品を導くプロダクトデザインのプロ

山﨑一元

山﨑一元 やまさきかずもと
山﨑一元 やまさきかずもと

#chapter1

言葉とイメージで考える「ウルトラシー流デザイン思考」と3D技術で、革新性を追求

 「SNSが主流の今、ヒット商品を生み出すには、パッと見て印象に残る識別性の高さが要となります」と話すのは、プロダクトデザインを手掛ける「ULTRA Si(ウルトラシー)」代表の山﨑一元さん。金沢市を拠点とし、生活用品から家電、産業機械まで幅広い分野で実績を持ちます。

 「人の目を引くためには、今までになかった発想が必要です。形状や機能性などの課題をデザイン思考で解決しながら、いかに革新的な切り口でオリジナリティーを出せるか。これが成否を分けます」

 持ち前の好奇心から、臆することなくイタリアに渡り実務も積んできました。「別世界で良い経験をさせてもらい、価値観の幅が広がりました」

 そんな山﨑さんの強みは、アイデア力。“人がやらないこと”や“少しはみ出したこと”に挑むチャレンジ精神を発揮し、他にないコンセプトを見いだし、製品として流通するまでを描きます。
 「“イメージ”で考えることがデザイナーの専売特許ですが、出た案を分類・検証する際に用いる“言葉”への感覚も重要で、それが商品コンセプトの源泉になります」。課題の本質を捉えた提案は、ものづくりの現場から「目からウロコ」と評されるとか。

 また、アイデアを視覚化する3DCADにも精通。キャリアの出発点である、自動車部品メーカー・デンソーのデザイン室では、3DCAD活用推進グループのリーダーも経験しました。
 「デザインのアイデア出しから製造までデータを一貫活用できる点がメリットで、金型制作用データや製品カタログなどにも転用可能。また、実物に近いビジュアルを共有できるので、実用に則したブラッシュアップを図れます」

#chapter2

イタリアの世界的デザイナーとのコラボや、ロングセラーの開発も

 山﨑さんは、デザイナーの礎を築いたデンソーで、主に携帯電話や産業用ロボットの開発に携わり、グッドデザイン賞も受賞。プロダクトデザインをさらに究めたいと、イタリア・ミラノへ。
 「ファッションをはじめ、食器や家電、車、街並みに至るまで生活のあらゆる場面で優れたデザインが根付いている場に身を置き、人とデザインの関係性について知見を広げたいと思いました」

 現地で世界的デザイナーから誘いを受け、数々の大型案件でコラボレーション。そのうちの一人、ステファノ・ジョバンノーニ氏とは、TOTOが欧州市場に本格参入する際、ウォシュレット製品の開発などを共にしました。
 「勝手が違ったのは、アイデア出しの段階から、3Dでのリアルな提案を数限りなく求められたこと。自分の中で切り捨てていたものでも、モデル化すると思わぬ発見もあり、あらゆる方向性からくまなく具体的に検討する“イタリア式”のすごさを痛感しました」

 帰国後、最初に取り組んだのが、2012年の発売以来ロングセラーを誇る象印マホービンのお弁当ポーチ(画像:ULTRA Si WEBサイトより)。広げるとランチョンマットとしても使える2WAY仕様で、当初は「包む・敷く=風呂敷」という和風の固定観念から脱却できず悩んだそう。
 「まだ出せていない良い案があるはず…。逆転の発想で、洋裁の手法でボディから服の型紙をとる立体裁断の概念に行き着き、お弁当箱を包んだ最終形から考え、ポーチとしてのたたずまいも表現することができました」

山﨑一元 やまさきかずもと

#chapter3

ものづくりの現場に広く貢献するため、オンラインコンサルティングをスタート

 大手メーカーから中小企業まで、さまざまなデザインコンサルティングを行っている山﨑さん。よく聞くのが「現状からこれ以上変えようがない」という悩みとか。
 「毎回固定メンバーで、同じような工程で業務を進めていると、イマジネーションの範囲は限定されます。私が担うのは、“例外”を起こす役。図面上だけではなく、例えばメンバー構成を変えるなど、普段はやらないこともいろいろ試してみないと。変わる切り口は必ずあります」ときっぱり。

 デザイン構想を見て「面白い、やってみたい」と、社内の機運が盛り上がるときにやりがいを感じると言います。
 「デザイナーはものづくりの旗振り役です。内容が先方の想定内や、実情とあまりにもかけ離れていると前に進みません。自分も面白いと思え、現場のモチベーションも上がる、説得力のあるアイデアを生み出すことがこの仕事の醍醐味です」

 今後は、中小企業を対象にオンラインコンサルティングも計画。
 「デザインへの意識は高くても、どうしていいか分からないという声は多いです。ざっくばらんに意見を出し合いましょう」と呼びかけます。

 山﨑さんのデザインの根底にあるのは、“ユーザーファースト”。「お弁当を広げるワクワク感」「機械を操作する楽しみ」など、実際にモノを使う人の気持ちに寄り添います。
 「ユーザーの喜びは、製品の評価として企業に還元されます。人の暮らし、ひいては人生を快適にする要素としてデザインがある。その視点を大事に、社会をより良くする一助になりたいですね」

(取材年月:2022年6月)

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専門家プロフィール

山﨑一元

アイデア力でヒット商品を導くプロダクトデザインのプロ

山﨑一元プロ

プロダクトデザイナー

ULTRA Si(株式会社ウルトラシー)

今までにないものを生み出すアイデア力で、プロダクトデザイナーとして数々のヒット商品を手掛けています。イタリアでは世界的デザイナーとコラボレーションも。デザインから製造まで3Dモデリングのエキスパート。

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