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Mybestpro Interview

自社で企画開発した質の高い登山・アウトドア用品をリーズナブルに提供

リーズナブルで品質と使い勝手の良い登山用品を生み出すプロ

林郁範

林郁範 はやしふみのり
林郁範 はやしふみのり

#chapter1

自分が欲しいもの、あったらいいなと思うもの、独創的なまねされないものを

 石川県羽咋市の「オクトス」は、登山用品やアウトドア用品の企画、製造、輸入業を行っています。強みは、品質と使い勝手に優れた商品をリーズナブルに提供できること。代表の林郁範さんは、「自分が欲しいもの、あったらいいなと思うもの、独創的なものを作っています」と話します。

 「当方で取り扱うのは、リュックサックやシュラフ、テントなどの登山用品や、キャンプ、クライミング関連のアイテムです。自社工場と、国内と海外に委託工場があり、自社では帆布のバッグや登山小物、非常用軽量テントなどを仕立てるミシン業務と補修メンテナンスに対応。海外では金属製品や縫製の工程が多いリュックサック、テントなどを生産しています」

 林さんは長年、登山やスキーに親しんできた経験から、商品にはさまざまなこだわりとアイデアが詰まっています。例えば、雪山を歩く際に登山靴に着用する「ラチェット式わかん」は独自に開発したもので、実用新案に登録。強度の高いジュラルミン製のかんじきをラチェット式ベルトで簡単に固定することができ、ユーザーからは「手袋をはめた状態でもスムーズに着脱できる」と人気を集めています。

 実店舗は大阪のみ。商品の大半をインターネットで直販することで、他社製品のように販売店を経由した流通コストを削減し、価格を抑えることにつなげています。
 「登山にはテントや寝袋、マット、炊事用具など多くの装備が必要ですが、有名ブランドでそろえようとすると費用がかさみます。みなさんの負担を減らすのも私たちの目指すところで、お客さまから『お財布に優しいオクトス』と喜ばれています」

#chapter2

会社員時代の仲間2人と事業をスタート。オンラインストアでファン獲得

 北海道の帯広市周辺で生まれ育った林さん。高校、大学で入部した山岳部で、山に魅せられたと言います。
 「学生時代は、南・北アルプスでの縦走登山やクライミングなどに取り組みました。卒業後は登山用品を扱う会社に就職し、東京都内のショップで数年接客を担当したのち、オリジナルブランドの製造部門に移り、ものづくりのノウハウを学びました」

 新工場の建設に伴い関東から石川県に移った林さんは、ブランドの責任者として企画立案から生産までの管理を一貫して任され、国内外を飛び回ります。ところが、本部の方針転換により1998年に工場の閉鎖が決定。ちょうど独立を考えていたことから退社し、1999年にオクトスを創業しました。

 「会社にいると、『こういうものを作りたい』『こういう売り方をしたい』と自分のやりたいことがあっても、実践するのは難しい。以前から、大手スポーツメーカーの登山用リュックサックの企画生産を手掛けていたので、会社を辞めても仕事を続けていける自信がありましたし、海外の委託先と築いてきた関係もそのまま生かせると思いました」

 工場で働いていた仲間2人とともに、他社ブランドの製作を請け負うOEMから事業をスタート。半年後には帆布製のバッグやザックカバーなど自社製品の開発を始め、少しずつラインアップを増やしていきました。同時にオンラインストアも開設し、全国に向けて広く展開するまでになりました。

林郁範 はやしふみのり

#chapter3

気軽に購入できて相談ができる、身近な会社でありたい

 2015年には、登山用品のメーカーが負債を抱えていることを知り、手を差し伸べました。なかでも同メーカーのバックパックブランド「マウンテンダックス」は、著名な登山家たちに愛用されてきたロングセラーブランド。在庫を全て買い取り、商標権を落札して社員の一部も雇用しました。
 「取引があり、懇意にしていた会社なので、事情を聞いて応じることにしました。うちが小さい会社だからこそできたことです」。マウンテンダックスはブランド消滅の危機を脱し、今もファンを魅了し続けています。

 現在、検討しているのはダウン製品の充実。「特にダウンの寝袋は扱っているメーカーが少なく、品質の良いものは非常に高価です。他の生地と厚みや縫い方が異なる上、羽毛を入れる機械は特殊なので新たな設備投資は必要になりますが、実現できれば当社の主力になるはず」と期待を寄せます。

 フェイスブックやインスタグラムなどのSNS、ウェブメディア、雑誌を通じて商品の選び方や使い方などを紹介している林さん。背景には、登山を安全に楽しんでもらいたいとの思いがあります。
 「山での遭難が後を絶ちません。装備の不足が原因で低体温症に陥り、疲労凍死してしまうケースも見受けられます。そういった事故を少しでも減らすため、必要な情報を発信しながら、みなさんの命を守る装備を開発していくことが目標です。ユーザーが気軽に商品を購入できて相談ができる、身近な会社でありたいですね」と笑顔を見せました。

(取材年月:2022年3月)

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林郁範

リーズナブルで品質と使い勝手の良い登山用品を生み出すプロ

林郁範プロ

登山、アウトドア用品の企画・製造・輸入

株式会社オクトス

買いそろえると高額になりがちな登山用品やアウトドア用品を、価格と品質の両立に努めながら独自に企画開発しています。装備の選び方や使い方など、安全に登山を楽しむための情報提供にも取り組んでいます。

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