誠実、情熱、感動を基本理念に掲げる清掃のプロ新井椋太

誠実、情熱、感動を基本理念に掲げる清掃のプロ

新井椋太

「ここまでやってくれたの」と驚く顔を見るために、期待値を越える仕事を目指す

　「当社は、誠実、情熱、感動を基本理念とする清掃会社です」。そう話すのは、河北郡内灘町に本拠を構える「三恵商事」の新井椋太さん。同社は、石川県を中心に北陸三県でビルや住宅の清掃を手がけています。

　一口に清掃といっても、その内容は多岐にわたります。床のワックス塗り直しやカーペットの洗浄、ガラス磨きのほか、エアコンクリーニング、換気扇の油落とし、建具の汚れ取り、外壁の高圧洗浄、害虫の駆除など、さまざまな依頼に応じています。

　「最近では、コウモリが自宅に住み着いてそのフンに困っていた方が内灘町の役場に相談し、役場の担当者から連絡をいただきました。当方でコウモリの営巣場所を特定し、忌避剤の選定と散布を行いました。経過観察も含め約1カ月で被害の抑制に成功し、お客さまにはすいぶん喜んでいただきました。こちらとしてもほっとしましたね」と新井さん。20年近く清掃業務に携わってきた職人として「現場を熟知していることが私の強み」と胸を張ります。

　また、状況に合わせて適切な道具と手順を導き出し、「お客さまに『ここまでやってくれたの』と驚いてもらうことが喜びです」と語る新井さんは、顧客の期待にこたえるため、事前の打ち合わせを大切にしています。

　「清掃のプロなので、キレイにするのは当たり前です。その先にある感動をどのように提供できるかを常に考えています」

「社長の息子のくせに」と言われぬよう、何事にも人一倍熱心に取り組んだ日々を糧に独立

　新井さんは金沢市生まれ。実家は、現在も父親が経営する清掃会社「三恵ビルサービス」です。高校生の頃からアルバイトで手伝ってきましたが、卒業後、家業に入ることはしませんでした。その理由を「早起きが苦手だったから」と明かします。

　「高校を出て地元で働いていたのですが、『やはり父を助けたい』と三恵ビルサービスに入社することにしました」

　ただ新井さんへの接し方などについて、周囲も戸惑いがあったといいます。「社長の息子だからって調子に乗るなと言われたこともあります。だからこそ私は、誰にも文句を言われぬよう努力を重ねてきましたし、周囲に対して誰よりも気を遣ってきたつもりです」

　猛勉強の末に清掃関係の資格を取得していった新井さん。ときには先輩とも喧嘩をしながら、正しい清掃の手順や方法を学んでいきます。県内外の多様な現場に赴き、着実に経験を積んでいきますが、徐々に現状にもの足りなさを感じるようになっていきます。

　「父親の会社は営業活動をしなくても、懇意にしている元請けさんから定期的に案件が入ってきました。安定して売り上げが立つ反面、下請けがどれだけいい仕事をしてもお客さまの評価は元請けさんに対してですし、アフターサービスも自分たちでできません」

　自社が直接担当できる顧客を獲得するため、自ら新規開拓に乗り出そうとします。「営業力のない私が営業力を付けるには、一番責任のある立場でないといけないと考えました。ただ、父が元気なのに私が出しゃばるのも変だ」と思い直し、独立することを決めます。

内灘町から日本全国へ、サービスを提供できるようにしていきたい

　新井さんは2020年9月、35歳で三恵商事を設立し、代表取締役に就きます。三恵ビルサービスとも協力しながら、忙しくも充実した日々を送っていると笑顔を見せます。

　「会社を立ち上げて間もなく入会した地元商工会や内灘町の役場関係者、さらには昔お世話になった方からも清掃のご用命をいただいています。おかげさまで事業も軌道に乗り、ありがたい限りです。これからもみなさまのお役に立てるよう、サービスを拡充させていきたいですね」

　コロナ禍の昨今は、従来の清掃に加え消毒を加えたサービスをスタンダードにしています。「手の触れる部分の消毒清掃はもちろんですが、最後に専用の資機材で空間消毒を施して退出します。お客様の施設に立ち入って作業することがほとんどですから、その点の不安や心配をフォローできればと思ったのが始まりです。おかげさまでこの取り組みが好評となり、新年度から新規の清掃案件のご依頼をいただきました」

　新井さんには、今後、力を入れていきたいことが二つあります。一つは、元請け案件を増やすために官公庁の入札に参加できる体制を整えていくこと。そして二つ目は、ビルや住宅の清掃にとどまらず、建物に関する問題にあますことなく対応すること。例えば、壁紙や床板を張り替える内装工事、エアコンの設置や照明の交換といった電気工事も請け負っていきたいと意欲的です。

　「誰かの『困った』を見逃さず、悩みの種を減らしていくことが私の願いです。いずれは、内灘町だけではなく、日本全国でサービスを提供できるようにしていきたいと考えています。」

（取材年月：2022年2月）

地域密着の清掃会社として、各種クリーニング業務のほか害虫駆除などさまざまな困り事に対応

「ここまでやってくれたの」と驚く顔を見るために、期待値を越える仕事を目指す

「社長の息子のくせに」と言われぬよう、何事にも人一倍熱心に取り組んだ日々を糧に独立

内灘町から日本全国へ、サービスを提供できるようにしていきたい

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