寝違えはほうっておくとこじれることも!そんな時はこのツボ!
日本人の腰痛発症率
「人口の8割が腰痛を自覚し、うち4人に1人が腰痛で仕事を休んだ経験を持っている」2012年にそんな統計が出ました。日本人の腰痛による経済損失は年間3兆円!一生の間に80%の人が腰痛に悩まされるそうです。
あなたの腰痛も3兆円の損失の中に入っているのではないでしょうか。うっとうしいですね、腰痛。「どっこいしょ」が口癖になっていませんか?それとも「あ~いたい、あ~いたい」(沢田知可子か西野カナか?)でしょうか。
クルマの乗り降り、立ち座り、寝返り。生活のいろんな場面で腰が痛い。病院へ行ってお薬やシップをもらってるけどいまいちパッとしない。お薬飲んだ時はいいんだけど。それはそうとこのお薬いつまで飲んだらいいの?お医者様はいつもくださるけど。運動しなさいって言われるけれどなかなかできないんだよね。痩せなさいって、わかってるんだけどねぇ。
そんなお話を良く聞きます。生活習慣を見直して運動すれば腰痛はずいぶんよくなります。それができればもうとっくに治っています。
ぎっくり腰とは?
さて、今回はいろんな腰痛の中でも急性腰痛、ぎっくり腰のお話しです。
ぎっくり腰をおこす筋肉の一つに腰方形筋があります。ベルトのかかる腰骨(腸骨)から第12肋骨や腰椎につながっていて、からだの側屈や後屈を行います。この筋肉に重い物を持ち上げるなどの無理なチカラがかかると痛みを出します。
ぎっくりとはどういう状態でしょうか。筋肉に思わぬ外力が加わり急激に収縮すると痙攣が起きると言われています。けいれんは激痛です。ドイツでは「魔女の一撃(Hexenschuss)」、医学用語では「急性腰痛(acute low back pain)」と言います。金沢弁では「おおごし(Big waist)」といいます(つぼなかぢ訳)。
腰方形筋がぎっくり腰になるのは重いものを持ちあげて横にずらすという動作をした時です。
今回のケース
56歳、男性、事務職、右側の急性腰痛で受診されました。いつもは肩こりや仕事での疲労回復で当院を受診している方です。昨日掃除中に腰痛を発症しました。棚の下の方を雑巾で拭いている際にギクッとなったとのことでした。かがんでからだを左右に向けて雑巾がけをしました。体の側屈と前後屈で痛みを訴えます。腰だけの痛みです。足に神経痛は起きていません。
腰を見せてもらいました。触診すると右腰方形筋にコリがあり、グッと押し込むと痛みがあります。「痛い場所はここですか?」とお聞きすると「そうです、そこが痛いところです」。
そこでそのコリに鍼を当てるように斜めに刺入しました。深さは約3cm。軽くズンとした響きが出たところで15分間置鍼しました。
置鍼とは鍼を刺してそのままにしておくやり方です。響きとは鍼が筋膜にあるセンサーを刺激した際に起こる鈍痛、酸痛、電撃感のことです。一瞬起こりますがじわーっとした鈍痛は痛みのある個所に到達して大変気持ちがいいです。15分後コリが消えていたので鍼を抜きました。からだを動かしてもらったところ痛くなく動けたので終了しました。
筋肉や筋膜に炎症がなかったこと、脊椎や脊髄神経に問題がなかったので鍼一本で治すことができました。
ぎっくり腰にはこのツボに効け!
「志室(ししつ)」
腰の背骨の外側約10㎝にあるツボです。昔の人は内臓に精神が宿ると考えていました。「五神」と言います。「志」は腎臓に宿るとされます。目標達成を目指して心を向けるのが「志」です。ポジティブな気持ち、それは腎臓から発せられると考えていました。志室はその「志」がある部屋という意味です。
図は志室より下ですがこんな感じで横から押し込むと腰全体に響きます。押し込んだまま10秒。それを5回~10回。立ち上がってみると痛みが楽になっています。
(『ID触診術』,鈴木重行著,三輪書店)
鍼なら一本で片が付きます。セルフケアで良くならない場合は一度診せてください。
ぎっくり腰になったら、「志室」を押せ!