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企業墓

米田慶隆

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社員は運命共同体、と考えてもらうには良いと思います。
バブルの頃は節税対策だったりした事もあるようですが・・。


高野山に「企業墓」ずらり
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 お盆休みを1カ月後に控え、「お墓参りに行かなくては」と考えてい
た時、知人が「高野山には変わったお墓がある」と話しかけてきた。
 企業の墓、だという。これまで企業を取材してきたが、聞いたことが
ない。謎の「企業墓」を探るべく、現地に赴いた。
 近年は「パワースポット」としても人気がある高野山。奥之院(おく
のいん)の参道は老杉がそびえ立ち、「明智光秀」など古めかしい武将
の墓が並ぶ。脇道に進み一見普通の墓地にたどり着くと、コーヒーカッ
プ形の「墓石」が目に入った。
 土台には「UCC上島珈琲株式会社」の文字。これが企業墓か。ヤク
ルト、福助、ロケット。約200メートルの石畳の道の両脇に、見覚えの
ある企業の商品やロゴを模した「墓石」が次々と見つかった。
 ほかの参拝客も驚いているようだ。約30年ぶりに来たという大阪市港
区の自営業、結城勝志さん(47)は「こんな墓石、見た覚えがない。で
もそれぞれがデザインされていてこだわりを感じる」。大阪府枚方市の
理学療法士、北川拳士さん(22)は「観光ガイドには載っていなかった。
何のためにあるのだろうか」と首をかしげる。
 奥之院の墓地を管理する高野山金剛峯寺の吉川東吾さん(57)が「企
業墓と言う人もいるが、これらは企業が建てた慰霊碑」と教えてくれた。
亡くなった従業員などを供養しているらしい。業界団体が建てたものも
あり、古くは江戸時代、旅籠や商店が石碑を建てていたという。
 「記録上、株式会社としては1938年の松下電器産業(当時)が最古」
と吉川さん。探してみると、メーンの参道沿いにこけむした石碑「松下
電器墓所」があった。
 すぐ隣には「パナソニック墓所」と記された新しい石も。「2008年の
社名変更を節目に、参詣客や企業関係者に目印になるようなデザインに
した」(パナソニック広報部)といい、毎年9月、80人前後が集まり慰
霊の法要を開いているという。
 国立民族学博物館名誉教授で吹田市立博物館の中牧弘允館長(宗教人
類学)は「企業墓を持つことはステータス。目立つ石は宣伝にもなる」
と指摘する。中牧館長によると、企業墓と呼べるものは比叡山延暦寺や
東京・上野、不忍池の弁天堂など関西以外にもある。企業が自社の敷地
内に建てる例も。ただ、これほどの規模は高野山だけで、その数は約100
社。「有名な『聖地』だからこそ」で、終身雇用制度や「企業戦士」が
深く関わってきた。建立は高度成長期からバブル崩壊前にかけてがピー
クという。
 ここで1つ疑問が。倒産したりM&A(合併・買収)があったりした
場合は? 金剛峯寺の吉川さんの話では、引き払うか維持するかで、い
わゆる「無縁墓」はない。敷地はすでにいっぱいだが、現在でも企業か
ら「建てたい」と問い合わせがあり、まれにだが「入れ替え」もある。
 道中で偶然、面白い人に出会った。米シカゴから来たリディア・スミ
スさん(22)。世界中の墓石を比較研究しているという。「こんなに変
わった形の墓石が集まる場所は初めて。1つの企業に勤め続ける人が多
い日本独特の文化では」とやや興奮気味。そういえば中牧館長もこう言
っていた。「主人のために奉公する武士を弔う文化は、現代企業にも息
づいている」
 むかし侍、いま会社員――。戦国時代と現代が交錯する歴史のロマン
に胸を熱くし、企業墓の「名刺入れ」に名刺を1枚供えて高野山をあと
にした。


(日本経済新聞2016年8月4日(月)電子版3:30より抜粋)
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米田慶隆
専門家

米田慶隆(墓石職人)

山陽石材株式会社

僧侶とお墓ディレクターの立場からお墓、仏事についてアドバイス。墓石・区画選び、彫刻、設計、見積もり、施工、開眼法要までワンストップで対応。高品質な石としっかりとした施工で10年先まで美しいお墓を提供

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