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戸建て住宅耐震リフォーム その3

森本薫樹

森本薫樹

テーマ:戸建て住宅耐震リフォーム


長田区の戸建て耐震リフォームです。
2階に続いて1階の解体が始まりました。

1階はLDKと水廻りになります。
基本的な配置は変わりませんが、階段を玄関側からリビングへ架け替えて動線を改善します。


階段の壁を撤去して、こちら側へ階段を架ける空間を作り出します。
築年数の経過した建物ですので、元の壁は「土壁(つちかべ)」で造られていました。


壁の芯には竹を割いて格子状に編み付けた「小舞(こまい)」という下地が入っています。
この上に水と藁を含んだ土を塗り重ねていくことで壁が構成されています。

土壁は耐火性能や調湿効果があり、近年では耐震強度を高める効果があることも分かってきています。


柱と土台を残して壁と床の解体が完了しました。

架け替え予定の古い階段は、1階の構造補強が完了するまで筋交い(すじかい)代わりに残しておきます。
これは作業階段として利用するとともに、壁量が少なくなったことでダウンした耐震強度を少しでもカバーするためです。

※筋交いとは…柱と柱の間に斜めに入れて建物の構造を補強する部材のこと


玄関と階段を残して1階の床がすべてなくなりました。
この年代の建物の床下はコンクリートではなく土のままです。


左が玄関から直接2階へ上がる階段で、正面がキッチン、その奥が水廻りになっています。


水廻りも外周を残してすべて解体しました。
左手前からトイレ・洗面室・浴室となります。

水廻りは過去に増築されていたようで、外周の基礎がコンクリートブロックで造られていました。


洗面室とお風呂の間の床下地の一部です。
以前に漏水があったようでかなり腐っていましたが、その下の土台は健全な状態で残っていました。


洗面室入口の柱です。
こちらは下半分ほどが白アリにやられていました。

やはり白アリは暖かくて湿気のあるところを好むようです。(必ずしもそれだけが原因ではありませんが)


水廻り以外の基礎はコンクリートで造られていましたが、中に鉄筋が入っていない「無筋基礎」でした。
また至るところにクラック(ひび割れ)が見られました。

「鉄筋コンクリート造」は、コンクリートが圧縮力を、鉄筋が引っ張り力を、それぞれ負担しています。
鉄筋が入っていないということは、コンクリートの圧縮強度だけで建物を支えていることになります。


そのため圧縮力以外の応力が基礎に加わると、このように簡単にコンクリートにひび割れが生じます。
基礎は建物で最も重要な構造ですので、まずこれを補強するところから始めることになりました。

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森本薫樹
専門家

森本薫樹(一級建築士)

株式会社リフォーム計画室

間取りや内装リフォームの他、住まいの耐震性や耐久性、断熱性など建物の基本的な性能を高めることで耐久年数を上げたり資産価値向上にも尽力。既存住宅の活用していくために依頼主の声から問題の解決を目指します。

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