地域密着をコンセプトに、信頼感あふれる質店を目指して（2/3）

家業である質店を継ごうと考えるきっかけになった転機

　今では質店の良さを多くの人に広めたいと活動する藤井さんですが、自分自身、子供のころは家業である〝質屋〟に対して、あまり興味を抱いていませんでした。実際、進学した大学では工業製品のデザインを専攻。しかし、その一環として始めたマーケティングリサーチのアルバイトが、大きな転機になりました。店舗販売を経験した藤井さんは、店頭に立って物を売る面白さに気付き、販売業へ進もうと決意。下積みを経験して家業に戻ろうかと考えていたところ、就職活動の相談をしていた上司から「多くの経験が必要な職業は社会に出て勉強するよりも、専門知識を身に付けた方が自分のためになる」とアドバイスを受けました。その言葉に励まされた藤井さんは、大学卒業後、実家に戻って鑑定眼を磨くための勉強を始めます。

　平成24年8月に「株式会社Fujii」を設立。現在、努力の成果は宝石類の鑑定・販売の分野で生かされています。ぶれない軸として店を支えてきた分野でもあり、ジュエリーの特注製作の受注も始めました。既製品を流用するセミオーダー、客の思いを形にするフルオーダーまで、予算に合わせた提案を行っています。「下取りをして新しい品物を売るだけでなく、お客さまの大切な宝石を使い、可能な限り安価で蘇らせる提案もしていきたい」と話す藤井さんは、質店ならではの強みを生かし、多くの人々に思い出の品を納めてきました。

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【次ページ】時代のニーズに合わせた要素を取り入れ、客との距離を縮める

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