特許表示の意味について
こんにちは。弁理士の福島です。
特許庁で公開されている「事例から学ぶ 意匠制度活用ガイド」(1)について、お話したいと思います。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/info/document/2907_jirei_katsuyou/jirei_katsuyou.pdf
最初の事例は、株式会社資生堂さんで、デザイン保護のための意匠を活用している事例になります。
意匠といえば、デザインですが、この会社さんでは、自社内にデザイン部署を設置しています。
これにより、自社製品の全てを広く見渡せるデザイナーが育ち、
各ブランドに対する深い理解に基づいた開発・制作がしやすくなるという大きなメリットがあります。
チラシやパンフレット、商品パッケージなど、ついつい外注しがちですが、
自社でデザインが出来ることで、より具体的に、より細かく丁寧なデザイン作成が可能になり、
お客さんに大きくアピール出来ますね。
この記事では、「例えば、「SHISEIDO」の人気美容液「アルティミューン」は、「眠れる美を解き放つ」というブランドコンセプトと製品機能である「免疫の活性化」を、なだらかな曲線と湧き上がるようなイメージの赤のグラデーションで表現している」とのこと。
一つのブランドコンセプトと商品機能とを組み合わせたデザインは、社内デザイナーがいないと、創作出来ないところです。
そういった意味では、デザイン力が強い=組織の商品アピール力が強いとも言えるのではないでしょうか。
この記事では、「「美容クリーム「ラ・クレーム」は、ブランドのイメージを刷新するため、「美とサイエンス」の結晶化をコンセプトに、ランダムな多面体形状に加工を施し、進化したイメージを表現している」とのこと。
この会社さんの多面体形状の化粧品を見たことあると思います。特徴的な形状から、商品コンセプトをうまく表現していますね。
このような発想は、おそらく、発明者とデザイナーとの接点が大きく寄与しているように思います。
「製品デザインを保護していくことの積み重ねが、自社ブランドを支える大きな価値になるため、意匠権はブランドの形成にも有効である。」とのこと。
意匠権は、特許権や商標権よりも、知名度が低いのですが、デザインの保護として意匠権を多角的に取得することで、特許権や意匠権よりも力を発揮する良い例だと思います。
「低価格帯の製品はライフサイクルが短く、デザインが頻繁に変更されるのに対し、高価格帯の製品はライフサイクルが長く、デザインの寿命も長くなる傾向がある。そのため、高価格帯のデザインは、意匠権で保護する必要性が特に高い。」とのこと。
この視点は、他の分野でも役に立ちますね。
私としても、高価格帯の製品については、意匠権の保護の可能性を提案するように心掛けています。
「ユーザーとの接点となるデザインを幅広く保護することで、ブランド・アイデンティティをより確かなものにする。」とのこと。
お客さんへの印象・記憶・連想は、お客さんの購買に繋がる大切な視点です。
物が溢れている現在、類似品が並ぶところでは、何かしらお客さんに商品をダイレクトに伝えていく必要があります。
その一つの手段として、良いデザイン=意匠権の保護で、他社と違ったアプローチが出来るのではないかと思います。