間知石の種類
弊社には昔の工法で作った磨いていない(叩き仕上げといいます)お墓があります。
それをご覧になったお客様から、様々な質問を受けました。
以下の3つです。
①表面の仕上げによって吸水の違いはあるのか?
②汚れた場合に掃除はどちらがしやすのいか?
③磨いていない方(叩き仕上げ)が価格が高いがその理由は何か?
まず①の違いですが、石の表面には微細な穴があり、どんな石でも吸水はします。
叩き仕上げの方が表面がザラザラして表面積が増えるため多少吸水が多くなりますが、さほど変わりません。
次に②の掃除のしやすさです。
ご想像通り、研磨仕上げの方が表面はツルツルしているため、雑巾やウエスで拭き取るだけで汚れは取りやすいです。
叩き仕上げの場合は表面がザラザラしており、雑巾やウエスでは拭き取りにくくなっています。
ここでものの考え方ですが、研磨仕上げのキレイな墓石も20年も経てば水垢が目立ってきます。
そうすると簡単には落ちにくくなります。
また建てた当初は鏡のように輝いていた石の表面もくすみがちとなり、古びた印象は否めません。
しかし叩き仕上げの墓石は少し違います。
長年の汚れは(ある程度のお手入れは必要ですが)味わい深くなってきます。
建てた当初は「うちのはピカッとは光っていないな~」という印象ですが、20年も経てば風格が出てきます。
この2つにはそれぞれの良さがありますので、検討の参考にしていただけたらと思います。
続いて③の価格についてです。
最近のお墓は表面を磨いたものばかりですが、これは戦後に切削機(石を切る機械)と研磨機が普及して割と簡単に研磨仕上げが出来るようになったからです。
機械加工の場合は、まず切削機で石を切ります(直線部分のみ)。
カーブの所は電動工具で形を作ります。
そして研磨機で研磨(8~9工程)をします。
しかし切削機や研磨機が普及する前の工程は次のとおりです。
石に穴をあけセリ矢というもので石を割ります。
そしてノミやコヤスケという道具で大まかな形を整えます。
それから表面をビシャンという道具を使って粗い目で仕上げ、さらに小叩きという道具で細かい目に順番に叩いて仕上げます。
これが「叩き仕上げ」「小叩き仕上げ」です。
昔の研磨仕上げはここからさらに砥石で手磨きをしていました。
一般的に叩き仕上げでお墓を作るには約2~4万回石を叩くとされています。
ですから今は叩き仕上げの方が高価になのです。
写真は山南本店に展示しております「大樹寺型五輪塔(千年五輪塔)」です。
愛知県岡崎市にある大樹寺は徳川家康の菩提寺として有名で、目利きの杉田さんプロデュースの作品です。
素晴らしいバランスで、このセンスのいい形は石造美術品に匹敵します。
最後に、
本当にいい叩きのお墓はとてもキレイに年をとると私は思っています。
叩いているからこそ、だんだん古くなってきた時にその違いは明確になってきます。
だからこそ石工は一所懸命叩くのだと思います。