剪定鋏の研ぎ直し—宮村流の技法で甦る切れ味!
「裁ち鋏を研ぎ直すことはできますか?費用はおいくらですか?」というご質問を受けることがあります。その際私は「何を切るのにお使いですか?」とお尋ねします。さらに「今まで研ぎ直されたことはありますか」ともお尋ねしております。
裁ち鋏の種類と研ぎ方
裁ち鋏は一見するとどれも同じような形状をしていますが、実際には用途によって求められる切れ味や仕上がりが異なります。
例えば、洋裁に使われる裁ち鋏と和裁に使われる裁ち鋏では、求められる繊細さが違いますし、ゴムを切るために使用する裁ち鋏はまた異なる特性が必要です。
特にゴム切り専用の鋏には「曲がり刃」と呼ばれる独特な形状のものもあり、この鋏を研ぎ直すには高度な技術が求められます。
裁ち鋏の研ぎ直しを行っている研ぎ屋さんのほとんどは、機械研ぎを採用しています。具体的には、グラインダーや水研機、バフなどを使用し、荒研ぎから中研ぎ、仕上げ研ぎまでを機械で行うことが一般的です。
しかし、機械研ぎにはメリットもありますが、いくつかのデメリットもあります。
機械研ぎのデメリット
刃が早く減りやすい
機械研ぎは高速回転する砥石を使用するため、短時間で研ぎ上げることができますが、その分、鋏の刃が削れすぎて刃が早く減ってしまうことがあります。
刃の変形のリスク
高速回転する砥石による研ぎ直しでは、均一に削ることが難しく、刃が変形してしまうことがあります。
研削熱によるダメージ
私が機械研ぎの最大のデメリットと感じるのは、研削熱による鋏への影響です。機械研ぎの際に発生する熱が刃に加わることで、鋏の金属組織が変化し、切れ味が落ちたり、刃がもろくなったりすることがあります。特に裁ち鋏のような繊細な道具にとって、研削熱によるダメージは大きく、最悪の場合刃が嚙んでしまい使えなくなってしまいます。中には「刃を焼かないように研いでるから大丈夫」と言われる研ぎ屋さんもありますが、鋏へのダメージは研ぎ直した後、直ぐにではなく、鋏を使っているうちに出ることが多いです。
こうした理由から、私は機械を一切使わず、宮村流完全手研ぎで裁ち鋏を研ぎ直しています。
宮村流完全手研ぎのメリット
研削熱の発生を防ぐ
宮村流完全手研ぎでは最適な量の水を使い、相応しい力で研ぎ上げていきます。それで研削熱が発生しにくく、鋏にダメージを与えることがありません。そのため、刃の硬度や性質を損なうことなく、切れ味を蘇らせることができます。
繊細な仕上げが可能
裁ち鋏には、布などを切る際に滑らかが求められます。宮村流完全手研ぎは、試し切りをしながら研ぎ上げますので、滑らかで切れ味の良い鋏に仕上げることが出来ます。
天然砥石による強く長切れする刃付け
荒砥石から仕上げ砥石まで使用する砥石は全て天然砥石を使用するため、強靭で長切れする刃を付けることができます。天然砥石で刃付けした裁ち鋏は、より長期間快適に使用することが可能になります。
新品の裁ち鋏について
当店でお買い上げいただきます新品の裁ち鋏は、一生物の鋏としてお使いいただける物として提供させて頂いております。お買い上げ時点で無料で本刃付けさせて頂き、必要に応じ研ぎ直させて頂いております。
裁ち鋏の研ぎ直し料金について
裁ち鋏の研ぎ直し料金は研ぎ屋さんによって異なります。一般的には、裁ち鋏の材質や長さや銘柄によって料金がかわることが多いようです。
当店では、裁ち鋏の研ぎ直し料金を 通常2,000円(税別) と設定させて頂いております。
裁ち鋏の研ぎ直しや新品の裁ち鋏をご希望の方は、メールにてお気軽にお問い合わせください。