ホームセンターで買った三徳包丁の切れ味は?プロ刃物研ぎ師が解説
カエリって何?安心安全?それとも危険な物ですか?
刃物研ぎを解説する方たちが、「カエリが出たら研ぎ上がったしるしです」と説明されているのを聞くことがあります。
包丁研ぎの場合はその後続いて「カエリは食べると危険?なので新聞紙で擦って取ってしまいます」と説明され、新聞紙を使ってカエリの取り方を実演されます。
続けてトマトを使って試し切り。「スーと切れます」!
そこで今回のコラムでは次の点について解説できたらと思います。タイトルは「カエリって何?安心安全?それとも危険なものですか?」です。
カエリって何?
ではまず最初に「カエリって何」?について解説させて頂きます。
刃物を研ぐ時はどんな刃物でも、つまり包丁でも、ハサミでも、鑿でも、鉋でも、、、、、。研ぐ時は「カエリが出るまで研ぐ」というのが通説です。
例えば荒砥石、中砥石、仕上げ砥石を使い三徳包丁を研ぐ場合ですと、先ず荒砥石でカエリが出るまで研ぎます。カエリが出たのを確認して、中砥石、仕上げ砥石を
使い包丁を研ぎ上げます。カエリが出たことを確認する方法として私の場合は、右手親指の腹でなぞって確認しております。
そのようにして荒砥石、中砥石、仕上げ砥石で付けたカエリを確認するわけですが、時々お客さんに同じようにして確認して頂くことがあるのですが、「カエリが出
ているのが分からない」と言われる方もおられます。
私は荒砥石、中砥石、仕上げ砥石で研いで出たカエリは、荒砥石には荒砥石のカエリ、中砥石には中砥石のカエリ、仕上げ砥石には仕上げ砥石のカエリが出ており、
使用した砥石のカエリが付いたと考えています。
しかしカエリを(研げたしるし)と考えておられる方は、「包丁を研いで薄く鋭利にして、切れ味を出そう」とのお考えかと思います。
砥石の違いは粒度の違いで、より粒度の小さいつまり番手の大きな砥石を使って切れ味を良くするというお考えかと思います。
では私にとってカエリとは何でしょうか?
包丁の場合ですと包丁の刃先に研いで付ける食材を切るための【刃】の事です。
私がカエリを取らない理由について
ですから荒砥石で研いで出たカエリは荒砥石で付けた刃、中砥石で出たカエリは中砥石で付けた刃、仕上げ砥石で出たカエリは仕上げ砥石で付けた刃ということで
す。真剣に、努力して、、、、、、。自分で包丁を研いで付けた刃です。折角研いで付けたカエリつまり【刃】なのに、「何故新聞紙で擦って取る必要があるの」っ
てあなたは思われないですか?他に私がカエリを取らないこんな理由もあります、、、、、。
私はプロの刃物研ぎ師として天然砥石を使いますので、天然仕上げ砥石ですと非常に高価な物です。その砥石で研いで付けた刃を、「どうして新聞紙で擦って取る必
要があるのか?」ということです。その理由からも私はカエリを取ったりはしません。
私にとってカエリとは?砥石で刃物を研いで付けた【刃】だと考えております。
包丁を研いで付けたカエリつまり食材を切るための【刃】を取れば切れなくなります。トマトのように皮が薄く中身が柔らかい物は包丁を前後にスライド(滑らせ
て)させれば切れますが、特に人参やカボチャなどの硬い食材を切ろうとしても滑って切れていかないのでその理由でも私はカエリを取りません。
カエリは安心安全?それとも危険なもの?
最後にカエリは安心安全?それとも危険なもの?について解説させて頂きます。
このことが問題になるのは包丁などで切った食材を口にする場合でしょう。
私は包丁を研いでカエリを新聞紙で擦って取る事はしません。その理由として私が包丁を研いで付けたカエリ【刃】はルーペで視ても見えないほど小さなものである
という事です。電子顕微鏡で観察してやっと確認できるほど小さなものです。
ですからお料理をする際、カエリが食材に入って人体に害を及ぼすとは思えません。
以上がカエリは安心安全?それとも危険なもの?についての解説でした。
今回のコラムタイトルは
「カエリって何?安心安全?それとも危険なものですか?」というもので、包丁研ぎを例にして取り上げさせていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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