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包丁を機械で研ぐとどうなる?切れる?切れない?プロ刃物研ぎ師による解説

宮村和秀

宮村和秀

テーマ:包丁

機械研ぎをしていたことがあります


私が「包丁の宮村」を開き、研ぎ師として独立した1995年頃の私の研ぎ方は今の私の研ぎ方とは違い、一年間程だったと思いますが機械研ぎを行っておりました。それは手研ぎに加え、水研機、グラインダー、バフといった機械を使った研ぎ方です。
試し切りには新聞紙を使いました。今も多くの方がしておられるやり方です。

例えば家庭用両刃包丁を次の様な仕方で研ぎ直しておりました。
まず包丁の錆や汚れを落とします。次に包丁の腹の厚みをグラインダーですき取ります。水研機【1000番】で研ぎます。天然仕上げ砥石で研いで、仕上げにバフ(研磨剤を付けた)をかけます。新聞紙で試し切りします。以上です。
試し切りでは音がしないくらいに、引っ掛かりなくスーと新聞紙が切れたらOKでした。

新聞紙ではなく食材を切ってみたら
料理をする際実際には新聞紙ではなく食材を切るわけですから、トマトや人参などの食材を切ってみました。スーと切れます。
がしかし、直ぐに切れなくなってしまいます。
何故なんだろう?と思い、刃先をよく見ると【小さい刃こぼれ状態】になってしまっています。これでは切れません。また研ぎ直します。

結局刃物は研ぐたびに小さくなるし、、、、、。

こうした状態が両刃包丁だけでなく、片刃包丁でも、ハサミでも、ノミでも、鉋でも、彫刻刀でも同様でした。

機械研ぎの熱によって刃が焼けたのでは?

私は高校卒業してから大工見習を始めました。ノミや鉋を研ぐ際に、大工の親方や鋸の目立て職人さんから「機械研ぎをしたらあかん。鈍らになるから!」と言われました。「鈍らになる」とは切れなくなるという意味です。

機械研ぎを止めて完全手研ぎを探究する


機械研ぎをしたら「鈍らになる!」この言葉の通りだと思い機械研ぎを止めて、機械を一切使わない完全手研ぎで今に至っています。さらに刃物研ぎを探究し【宮村流】を確立、YouTubeで動画公開してきました。

機械研ぎでの研削熱が原因


最近、機械研ぎでの研削熱の温度が600度から1000度以上にもなることを知りました。私が研ぎ師として独立した当初、機械研ぎで研いだ刃物がすぐに切れなくなった原因としてこの研削熱で刃が焼けたことが考えられると思います。

私は機械研ぎを否定するつもりは毛頭ありませんが、私には機械研ぎで刃を焼かずに研ぐことは出来ませんでした。

昔に機械研ぎをして切れなくなった包丁を研ぐ


研ぎ師として独立した1995年頃に機械を使って研いでいた包丁が我が家にありましたので研ぎ直してみました。
研いだ後、試し切りでトマトを切ってみましたが切れませんでした。

研削熱で切れなくなった包丁


包丁などの刃物を研ぎ直す際、熱はとても大きな影響を与えます。刃物が変形したり、切れなくなったりします。この度のように切れ味が戻らない場合もあります。
刃物を研ぐ際、研削熱に気を付ける事。今回の研ぎ直しから改めて学んだ事でした。

現在の私は機械を全く使わない完全手研ぎの【宮村流】で刃物を研ぎ、【宮村流】オリジナル包丁をお造りし皆様にご提供させていただいております。

研削熱で切れなくなった包丁というタイトルで動画を公開しております。ご覧いただき今回のコラムの内容をさらにご理解いただけましたら有難いです。


 

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