不登校の子どもが語らない真実:「勉強がわからない」が学校を遠ざける
私たちが目指すのは、通知簿の評価やテストの点数、資格や賞といった目に見える成果ではありません。それよりも、「自己肯定感を高める」「学ぶ力を育む」「満足感や達成感を味わう」といった、一人ひとり異なる抽象的で本質的な成果を大切にしています。
今回は、まちるどがどのように個々の幸せや目標の実現を支援しているのか、そのサクセスストーリーをご紹介したいと思います。
まちるどサクセスストーリー①:「学びを知り、海外留学へ!――『できない!』が自信に変わるまで」
【K君、高校2年生】
通室歴3年:週2回コース→高校合格→週1回コース継続中
K君は、中学2年生の夏、「自分に自信が持てない」とまちるどにやってきました。通い始めの頃はとにかく勉強が嫌いで、"勉強いやー!"、"読むのも書くのも嫌いー!"、"何をするのもいややー!"と机に向かえない日もたくさんありました。でも彼は、素直で人の話をちゃんと聞くし、人懐っこくて、人生を楽しめるなど、長所をたくさん持っていました。やっぱり人生を楽しめる、楽しみたいと思える心は生きていく上で強力な武器になります。いろんなことに興味、関心を持ち、楽しそうと思ったらやってみる、とても大切なことです。
楽しいことには積極的に参加してくれるK君でしたので、勉強がいやでも(勉強につながる)ゲームは楽しんでできました。通い始めの頃は英語のアルファベット順も覚えておりませんでしたので、アルファベットの積み木を順番に並べてドミノ倒しで遊ぶところから始まりました。かわいい小さな積み木で、ある程度の手先の器用さ、集中力が必要です。その絶妙な難しさが良かったのでしょうか、K 君はドミノにはまりました。授業のたびにドミノをするんです。大いに盛り上がりました。楽しいことから学ぶ、彼の場合はそれができたんですね。それから英単語のしりとりカードゲームをしました。これは大人でも白熱します。連戦に次ぐ連戦。勝敗表を作って、二人で激闘を交わしました。こうやって勉強の世界に入っていくことに彼自身抵抗なく、私が提案するゲームや遊びにはポジティブに楽しんで取り組んでくれました。
K君には英語学習の素質があって、優れた耳、発音力を持っています。そのため、「英語の歌・10 曲暗記チャレンジ!」を持ち掛け、トライすることにしたのです。英語の子どもの歌には重要な文法事項も入っていますし、何よりも英語の音、抑揚、リズムを身につけるのにとても役に立ちます。彼は10曲を見事歌い、暗記しまして、今でもそのチャレンジボードが教室に残っています。
それから、英文法虎の巻も作りました。模造紙に重要な英文法をまとめ、一目で必要な文法が確認できるように工夫されています。それを教室の壁に掲示して、他の保護者さんたちにも見てもらいました。その虎の巻は教室に寄贈され、後進を進む生徒たちにも学習法の一つとして紹介されています。
まだまだあります。何より彼の真骨頂を発揮したのが、中学校でのスピーチコンテストでした。耳が良く、発音がきれいな彼の得意が活きました。一緒に練習を重ねて、なんとクラスでトップの成績を収めたのです!そうやって少しずつ、恐らくは自分でも気づかないうちに小さな自信を積み上げ、成果が目に見え始めたのは通い出してから1年ぐらい経った頃でしょうか。英語のワークを見ているときに、彼が「この問題なら解けそう」とか、「この問題の方が好き」とか自分の得意、不得意について口にするようになりました。その言葉を聞いたときに私がどれほど感動したことか...。とても感慨深いものがありました。
K君は気分が乗らずに教室でゴロゴロすることもあります。でも、絶対に机に戻ってきます。私が声がけしなければ「勉強せんでいいん?」と聞いてくるんですよね。じゃぁすればいいやん(笑)って思いながら、じゃぁやろうか~とゆる~く始めるわけです。勉強前に二人でおしゃべりをするときもあります。それはそれでとても貴重な時間です。もちろんその後はちゃんと切り替えて問題集に向かいます。そしてだんだん集中力が上がり、授業終了間際に一番テンションが上るスロースターターです。それは今でも変わりません。それが彼のスタイルです。決して悪いものではありません。
昨年春、K君は見事志望高校に合格しました。だけど喜びは控えめで、もっと早くから勉強すればもっと上の学校に行けたのにと悔しがっていたのがとても印象的でした。そのため、彼は高校入学後すぐに、大学受験に向けて勉強を始めました。
K君の得意科目は英語です。でも数学も好きで、私は彼が高校に合格したときに「数学的独習法」という本をプレゼントしました。代数学、幾何学、微積分学、統計学のことが書かれていて、これから社会で役に立つ本です。とても喜んでくれました。すごいですよね、学問の本を手に取り、興味を示す。私も彼のここまでの成長は予測できませんでした。
自律学習においても目を見張るほどの成長が見られます。今は大学に入るため、自分で大学受験までの勉強スケジュールを組み、わからないところを自分で調べ、本を買い、自主勉強をするまでになりました。私も彼にお願いされるがままに英単語テストを作り、専門外の科目を一緒に勉強し、なかなかの無茶ぶりに必死に応えています(苦笑)。また、座学だけではなく、学校の勉強を離れても、良さそうな英語動画を探したり、いろんなところに出歩いたり、さまざまなことを学び続けています。
学ぶということをまさに体感しているK君ですが、さらに驚くべきことに、実は彼はこの夏、カナダへの留学を果たしました。中2の夏にアルファベットの積み木を並べるところから始めて、3 年の時を経てカナダへ留学です。ホストファミリーに自己主張できるぐらいの英語力を身につけ、今は英検取得に向けて勉強中です。素質という芽を、大輪の花へと咲かせる。彼はまさに「得意を伸ばす」途上にいます。
私の出番はそろそろ終わりかな?と思うこともあります。でも、急にガタガタッとくることがあるのでやっぱりまだ伴走しようという気持ちにもなります。子どもの成長に限界を作ってはいけない。私を越え、成長した姿を見られる日はもうすぐそこです。
あっ、ちなみにK君は自分に自信が持てなかった頃の自分は忘れているようで「え~、そんなこと言ってたかなぁ~?!」と申しております(^^)
<高校合格後にK君とK君のお母さんから一言メッセージをいただきました!>
☆K君からの一言☆
「学校やまちるどなどで、ちゃんと授業を受けました。学校での提出物もちゃんと出したし、学校の先生にも愛想よく?!することができました!」
(うんうん、学校で先生に愛想よくすることはとても大事!先生も人間、愛嬌があるとかわいがってもらえる好例です!)
☆K君のお母さんからの一言☆
「勉強のことはいろんなところで先生方にお任せして、口出ししないようにしました。できるだけガミガミ言わないようにしたつもりです...。家でコンビニのデザートをよく一緒に食べて母子 2 人の時間を持つことができて良かったです。」
最後に、K君のご両親について。
お母さんからの一言でもわかるように、K君のご両親は彼のことを本当によく見てくれる親御さんで、彼の細かい変化や気分の落ち込みなどにすぐに気づき、逐一私たちに報告、相談してくれます。今も Mother's room(相談室)を継続してご利用いただいています。子どもの成長にはやはり親御さんの協力が欠かせません。
受検までの時間が短かったため1週間に2回のコースを選び経済的に後押ししてくれたこと、彼の意思を尊重して1ランク上の志望校に賭けて受験させてくれたこと、ずっとつながってくれるお父さん、お母さんに私たちも心から感謝しています。