恋人へのプレゼントは自分で選ぶ派?それともリクエストを聞く派?

木村知子

木村知子

テーマ:人間・心理

恋人へのプレゼントを選ぶとき、なぜだか自分の心がウキウキする、そんな経験はありませんか?自分がもらうのではないのに高揚感や幸せな気持ちに包まれる、よく考えてみると不思議です。
ギフト

恋人へのプレゼントをどう選ぶ?

さて、大切な人の誕生日が近づいてきたとします。あなたはどのようにして誕生日プレゼントを選びますか?相手のことをいろいろ想像しながら自分の考えでプレゼントを選ぶ派でしょうか?それとも単刀直入に相手にリクエストを聞く派でしょうか?

それではもらうときはどちらがいいでしょうか?相手が自分のことを思って選んでくれたプレゼンがいいか、それともやっぱり自分が欲しいものをもらえる方がうれしいでしょうか?

これはどちらが良いとか、正しいとかということではありません。心理テストでもありません。あげる側ともらう側で気持ちが変わることを知るちょっとした遊びです。

それぞれのメリット、デメリット

自分でプレゼントを選ぶ人は、自分の想いを相手に届けたい欲求が強い人です。相手を思う自分の愛を揺るぎなく信じていて、自分が選んだもので相手に喜んでほしいと考えています。相手が喜んでくれれば自分も相手も満たされます。しかし残念ながら相手にそのプレゼントを気に入ってもらえないときは自分の愛が裏切られたように感じ相手を恨めしく思ってしまうかもしれません。また本当にそのプレゼントを気に入ってもらえたかどうか相手の本心まではわかりません。
一方、相手のリクエストどおりのプレゼントを贈る人は、相手が欲しがっていないものをあげても仕方がないと考える合理主義者です。相手に喜んでもらえるのだからそれで良しと思われるかもしれませんが、こちらのタイプの人にも負の側面はあります。それはプレゼントを選びたい欲求が抑圧され(選ぶ楽しみがなくなる)、本来自分にあるべきはずの選べる権利も失ってしまうことです。いくら相手が喜ぶとわかっていても高額なものをねだられれば自分の気分は下がるというものです。このように相手が喜んでくれたとしてもそれだけではあげる側の心は完全には満たされません。

もらうときは自分の欲しいものが欲しい!

では次に、プレゼントをもらう側に立ってみましょう。愛情がたっぷり詰まった手作りのクッキーをもらったとします。正直あまりおいしくありません。でも相手の気持ちを傷つけないように「ありがとう、おいしい!」と言い、うれしそうにクッキーをほおばってみせます。でも本音を言えば、それよりは別のプレゼントがほしかったなぁという気持ちがあって、やっぱり欲しいものをちゃんと言えば良かったと少し後悔するかもしれません。このようにもらうときはやっぱり欲しいものが欲しいと思うのは自然な感情だと思います。

親子関係にみる与えたい欲求

さて、恋人同士の場面を想定してみましたが、親子関係においても同じことが言えます。親は子どもにとって喜ばしいものを与えたいと思っています。でも勉強や習い事のように子ども自身がそれを欲しがっているとは限りません。子もまた同様に親に喜んでもらえるものを与えたいと思っています。でもそれを親が受け取るかどうかはわかりません。子どもが親に笑顔やスキンシップを与えたいと思っていても親は忙しくて今はいらないと思うかもしれません。
与える側の相手に喜んでほしいという気持ち、もらう側の自分が欲しいものをもらえる期待は、人間関係が近ければ近いほど大きくなります。そのため、親子間で自分の気持ち、期待が裏切れられるととてもがっかりしてしまいます。親もしくは子から自分が欲しくないものを与えられるとイラ立ちますが、親戚からいまいちなお歳暮が贈られてきてもあまり気にならないものです。

欲しくないプレゼントはストレスになる

ではもし、自分が欲しいものはもらえないのにいらないものばかりが与えられたらどうなるでしょうか?恋人の話に戻りますが、恋人から毎年愛を伝える詩集が届いたとします。愛があるのはわかる、でも実際はいらないし、ぶっちゃけ処分に困る。そこでついには意を決して自分の欲しいものを伝えた。それなのに、相手は何を勘違いしたのか有名な詩人の本を送ってきた。もう何を言ってもムダ…と感じてしまいます。そしてこの状態が続くとどうなるか?自分の気持ちをわかってもらうことを諦め、相手へ期待することをやめてしまいます。

親子の間にある不信感

このようなすれ違いや理解のし合えなさによる不信感が親子間で生まれ、親子の与える、受け取るの信頼関係が薄くなっている家庭があります。親は親なりに一生懸命子どもを愛しているのに、子どもはその愛を受け取らない。だってそれは子どもの欲しいものではないから。子どもは子どもで親はわかってくれないと不満を溜め込み、親への暴言が止まらない。本当に欲しいものが届かない欲求不満に子ども自身が飲み込まれてしまっています。

与えるものと受け取るものの価値は違う

対人関係においてこの与えるものと受け取るものの価値が同じだと勘違いされていることがあります。その二つの価値はイコールではありません。それはあげる側ともらう側の喜びの差だけではなく、多くはあげる側の方がその価値を高く感じ、もらう側はそれほどその価値を評価しません。少し話はそれますが対人支援も似たようなところがあって、ちょっとした人助けでは効果が小さいことがあります。こちらが100を与え、相手が1を受け取ればいい方で、そのリターンの少なさに心が折れてしまったり、徒労感が残ったりすることがあります。

愛も思いやりも与えすぎると毒になる

自分の思いを伝えたい!あなたのことをこんなに愛しているのに!と思って、自分が与えたいものばかりを与える人は相手からの見返りを求めている、すなわち自分自身を愛している人です。そのため見返りがなかったときには悲しく、その気持ちが怒りになりやすいでしょう。
一方、相手のためと言いながら相手がほしいものばかりを与え続ける人は相手を甘やかし、考える力を奪ってしまうスポイラー(相手をダメにする人)です。例えば経済的に余裕があったり、自分の欲求が抑圧されることなくそれが実現可能な場合、歯止めが効かなくなることがあります。どちらも行き過ぎると対人関係、親子関係がうまくいかずにこじれてしまいます。

親子関係の再構築

もし親子関係がギクシャクしているなと感じたら、自分の与えたものが本当に相手が欲しかったものかどうか、自分の気持ちの押し付けになっていないかどうかを一度振り返ってみられるといいと思います。そしてもし、自分の気持ちを一方的に子どもに押し付けていたなと感じたら素直に親の気持ちを話してみてください。子どもは親の本音に敏感です。親子関係がすでにこじれてしまっている場合は腹を割って話せるまでに時間がかかるかもしれません。でもこう着状態を溶かすには親の歩み寄りがとても大切です。子どもと向き合うことを恐れずに話をしてくれる親の姿勢を子どもは待っています。

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