規格外、想定外には全く対応できない営業社員

辻村豊

辻村豊

テーマ:日々雑感

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

頭の中が凝り固まっている~

かつていた会社では造形用の樹脂を製造していました。非常に小さな世界で、出荷量も僅かでした。その僅かな量を同じグループ企業の複数の商社がシェアを分け合っていました。
ある時、そのシェアが多くなった商社がありました。当然(同じグループ企業内の)別の商社はシェアが減ることになりました。それが決まったということで、シェアが増えた商社の営業社員は居酒屋で勝利の祝賀会をやるということでした。
私は偶然にも祝賀会の直前にその商社の事務所を訪れました。そこで、営業担当者に『あの造形用の樹脂は熱伝導性が低くくて、比重が軽い特性があるので、断熱材や軽量化材への適用はできないか?』と尋ねました。
ところが、その場にいた営業社員は全員は聞く耳持たずで、『造形用は造形用でしかなく、もう頭の中が凝り固まっているぅ~』と人を馬鹿にしたような笑いをするだけでした。

安もんケーキの角度を大きく食べて喜ぶ


これはいったいどういうことでしょうか?
例えば、あるところに小学生の兄弟いて国語のテストの点数が良かった方が駄菓子屋で売っているあまり上等ではないシフォンケーキの3/4を、悪かった方が1/4を食べて良いことになっていたとします。更に算数のテストで30点以上取りさえすれば、駄菓子屋の隣のケーキ店にある、フルーツがたくさん乗った高級なタルトをまるまる1個食べることができたとします。
その兄弟はどうしたでしょうか?国語ではお互いしのぎを削って90~100点の争いになっていたのに、高級タルトには全く興味を示さず、算数の点数は常に10~20点で、『高級タルトを食べることはなかった』といったところでしょう。

図面さえあれば

これは最近、非常に良く遭遇することです。
展示会会場を回っていると、機械系、金属加工系、3Dプリンターなど、『工程の最初から最後まで一貫して行っている!』を謳い文句にしている会社が多いです。
しかしながら、必ず『図面さえあれば…』という決め台詞も来ます。
そこで、『図面なんぞ書かんので、手書きの絵でも良いか?』とでも言ったら、『話にならん!』⇒『ここはアンタには関係ないヨ、ハイ、サヨナラ~』となります。

印刷屋でも

また、ものづくりの展示会などで、意外と多いのが印刷系です。
最近もとある印刷屋のブースで、自分の名刺に刷り込んであるヒツジのイラストを見せて、『(このヒツジのイラスト入りの)播羊化学研究所の看板でも作れないか?』と聞いたことがあります。その際、『ヒツジのイラストは既にPNGで持っている』と言ったところ、相手の営業マンは急に表情が硬直化して『PNG?このオレに何をいっているんだ!』と言わんばかりに暴言を吐き始めました。もっとも、大した説明もできないようで、正直何を言っているのか?さっぱりわかりませんでした。かと言って、転んでもタダでは起きたくなかったので、粘り強く、ようやく聞き出したところでは、何やら拡張子が『.ai』であることが印刷業界の常識らしく、PNG方式で保存されたデータでは品質が無茶苦茶落ちるらしいです。
実は上記の前に、別の印刷屋のブースも訪れており、名刺交換した際には、『この名刺、非常にきれいにできていますね!』とお褒めいただいたほどです。
後日、更に別の印刷屋に聞くと、家庭用のプリンターで印刷するのとは『版を作るなど、明らかに違う』らしいですが、それもイマイチな説明で、未だに理解できておりません。結局、印刷業界というのは、一般人にはこれほどまでに理解しづらく、ややこしくて不親切な世界だということだけは知ることができました。
そもそも、印刷業界、ペーパーレスの時代を迎えて、仕事も大きく減り、アップアップしている状態故に、展示会でも何か新しいものを求めて出展したというのが素直に思えるところですが、上記のような高飛車な態度で良いのか?と感じましたが…

規格外、想定外には全く対応できない営業社員

上記の全てに共通することは、世の中、『規格外、想定外には全く対応できない営業社員』が如何に多いか?ということです。しかも、中には逆切れして狂暴っぽくなる営業マンもいるほどで、困ったものです。
それにしても、『他社との差別化』、『マーケティング』、『ブランディング』、『集客』、『販促』、『市場調査』、『市場分析』、『プロモーション』、『顧客開拓』、『需要創出』、などなど、世の中は良くわからない抽象的な言葉が溢れています。あるいは、至る所で聞く『このままではダメだ!』も同じです。
しからば、例えば『図面とはご縁の無い人々も積極的に取り込む』ことや『印刷屋でJPEGやPNGのデータであっても、きれいに仕上げる独自技術の開発』など、未開拓領域へ目を向けるべきでは?と思いますが…
そんな中、昨今問題となっている外国から原料が入らなくなるのであれば、原料は既存でも、未開拓領域の新しい物を創って売って行こうという発想に至らないのがこの国の住人です。その結果、原料不足がもたらず不安ばかりを煽るような記事を次々と書いて儲けようとする輩が後を絶ちません。
さすがに鎖国をしていた江戸時代に戻れとは言いませんが、それでも先人たちの知恵を今改めて知って行くのも一手と考えます。
(大江戸リサイクル事情)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5193702/

思考停止といふ快楽

結局、行き着く先は思考停止です。とりあえず楽です。人はその目先の快楽を最大限享受しようとします。その結果、上記のような超狭い業界内で安いケーキを少しでも多く食べることにだけに喜びを感じ、少しでも異質なものは排除しまくる、実に出来の悪い営業社員ばかりが増殖し、それらを多数生息させている会社という組織の在り方も考えるべきではないでしょうか?

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

原料や素材の研究開発、製造工程、PRなどに関する企業様のお困りごとを丁寧にサポート致します。専用の実験室で実証実験や試作も可能、少量からOKです。更に技術系社員の育成、技術承継のご相談なども承ります。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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