二泉映月

辻村豊

辻村豊

テーマ:日々雑感

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

前回の続きです。
(前回、月をめでる)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5205919/

大学の車で…

35年前の中国滞在時、江蘇省南通市という街から蘇州市まで大学の車で移動することがありました。当時の中国は自家用車は全て『運転手という専門職の人』が運転することになっており、車も運転手さんも大学所属でした。揚子江を渡った時、運転手さんはカーステレオにテープを入れて音楽を聞いていました。下記はその時の様子です。一見、バックミュージックのように聞こえますが、現場の音です。

後にこれは『梁山泊と祝英台』というバイオリン協奏曲であることがわかりました。全く同じ演奏が今ではYouTubeで聞くことができます。上記場面は下記の3分15秒あたりからと思われます。

そして車は蘇州市に着きました。車を降りようとしたところ、何とその運転手さん、車の中でかけていたテープを私に記念品として渡してくれました。今でも大切にしております。

ピアノ譜が…

その後、上海へ行きました。上海交通大学という大学の教授とご家族も一緒に上海見物に行くことがありました。大きな本屋に入った時に『何か欲しい物はないか?』となり、『中国の音楽の本』と言ったのですが、その時は良い物を見つけることはできませんでした。
ところが、帰国後、突然ピアノ譜が送られて来ました。『音楽好き』と言っていたことが通じていたようです。


二泉映月

最初の曲が『二泉映月』という曲でした。見るからに難しそうな曲で、私のお稽古事のピアノのレベルでは到底無理でした。

ただ、この『二泉映月』、あの運転手さんからもらったテープの中にも収録されていました。有名な曲であることがわかります。『梁山泊と祝英台』と同様、今では全く同じ演奏をYouTubeで聞くことができます。

元々は二胡の曲で様々な解説文があります。下記はその一例です。
(中国語記事ザッピング:二泉映月)
https://note.com/naruhodothe_niko/n/n19582fb67e18

ピアノで演奏したら…

こうなりますと、『あのピアノ譜を演奏したら、どうなるのだろう?』『どうしてもピアノ版を聞きたい!』となります。随分経ってからにはなりますが、CDも出ました。
(中国のピアノ曲集(ジー・チェン))
https://ml.naxos.jp/album/8.570602
そして、今ではそのピアノ版もYouTubeで聞くことができるようになりました。
(華彦釣(阿炳):ニ泉映月 ピアノ:田村果林)

月を眺めながら聞くにはピッタリの曲

上記解説文では、『その中の1曲に二泉映月があったが、曲の名前などはなかった。記録に残すのに曲の名前がないのは不便だという話になり、教授は阿炳に曲名をつけるように話した。阿炳は自分はいつも無錫の恵山という山の中にある名水が湧き出る泉、天下第二泉のほとりでよく演奏していたので「二泉」はどうかと提案。二泉だけでは曲名らしくないので教授のすすめで「二泉映月」という名前となったという。有名な広東音楽の曲になぞらえたとのこと。』とあります。要は二泉映月は大学教授が無理やり付けた名前となっています。しかしながら、たといそうであったとしても、この『二泉映月』は水面に映った月にしっくり来る曲調であり、静かな夜に月を眺めながら聞くにはピッタリの音楽だと思います。

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辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

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