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高校とは?
最近、かつて高校の教員をやっていた人と話をすることがありました。
『高校とは単に中学を卒業した生徒に3年間の居場所を与えるに過ぎない』と言い切っていました。もちろん、高校も千差万別でいろいろありますので、全てがそうだとは言いません。しかしながら、実際に赴任した先々で大して学力も伸ばさずに3年間を過ごす生徒が大半で、年々その傾向が強くなっているそうです。要は中学でわからなかったことに対して、高校でも理解することもなく、そのまま卒業していったそうです。
昔は受け皿があった
言うまでもなく、高校は義務教育ではなく、希望者のみです。学校は勉強するところです。その論法で行くと、学力を伸ばすことができないのであれば、高校へ進学する必要はないことになります。にもかかわらず、高校進学率は95%以上です。
(内閣府 教育をめぐる状況)
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/honpen/b1_s05_01.html
結局のところ、猫も杓子も高校へ進学するのは、義務教育のみでは受け皿がない、そんな世の中に過去の人がしてしまったからでしょう。もちろん、私もその一人です。
ちなみに私が中学生の時はまだ受け皿がありました。近くの大手電機メーカーも中卒者を採用しており、実際それに応募するかどうか?悩んでいる同級生もいました。また、企業側も技術者を自ら育てる意識が非常に強かったと思います。
技術力の大幅な低下
『日本はもはや技術立国ではなくなった』と聞いて久しくなりました。その一方で、ドイツは依然として高い水準を保っているそうです。その要因の一つに『マイスター制度』があると言われております。
(世界が認めるスペシャリストを育てるドイツのマイスター制度)
http://www.newsdigest.de/newsde/features/8887-meisterkeywords/
早い話が『猫も杓子も同じ道へ行くのではない』ということです。
もちろん、日本とドイツでは教育制度も大きく異なりますし、単純にドイツの真似をすれば良いというわけではありません。日本でも一部では日本版マイスター制度を作ろうとする動きもあるようですが、あまり進んでいないようです。
何でもタダにすれば良いというものではない?
それにしても、最近は選挙がある度に何かを無償化することを叫ぶ政治家ばかりが目立つようになりました。高校の無償化もその一つです。
もちろん、ご批判も受けることも覚悟の上で申し上げますが、正直、上記のように大して学力も伸びず、単なる居場所を提供するだけ、そもそも義務教育でもないことに対して、無償化さえすれば良いという考え方には大きな疑問を感じます。無償化一辺倒ではなく、上記のようなマイスター制度など、他のことについても広く深く考えて行く必要があるのではないか?と思います。
ちなみに、その元高校教員が住んでいる自治体では、乳幼児に紙おむつを“無償で”配布しているそうで、その元先生、『結局親の役割を奪っているだけだ』と嘆いていました。
何でもタダにすれば良いというものではない?