裁量労働制は良かった?
何でも聞いてください?
よくあることとして、何かの話を聞くと、『わからないことは何でも聞いてください。』と言われます。
しかしながら、本当に心から『何でも聞いてください』と思って言っている人はどれだけいるのでしょうか?
あるいは、質問に限らず、耳を傾ける対象は『都合の良いこと』に限定している人、意外と多いのではないか?と思います。
かくいう私もそういう時があります。
質問というノルマがあった
私が学生だった頃は勉強会などがあって、何かの話を聞くと、喋り手に質問をすることが推奨され、時にはノルマとされていたこともありました。
そうなりますと、とにかく話を聞いて何を尋ねるか?を準備しておかねばなりませんでした。
しかも、誰か先に同じ質問をされてしまうと、他のことを質問せねばならず、A案、B案、C案ぐらいまで準備しておく必要がありました。
世間様に出ると…
その後学校を卒業すると、状況は一変します。
質問も含めて発言することが非常に難しいことになっていました。
良く『早く社会人になりたい』とかいう声を聞きますが、どうもしっくり来ません。どうやら私自身、『いつまでも子供でいたい』と思っているようで、疑問に思ったことを心置きなく聞けるのは学生時代(=子供時代)までだったからかもしれません。
黙っているのが何より
以前在籍していた会社で報告会がありました。
質疑応答もあったのですが、なかなか質問する人が出て来ません。
創業者でもあった会長がコメントするだけです。
そんな中、勇気ある1人の社員が手を挙げ質問しました。
どんな内容だったか全く覚えておりませんが、会長が割って入り、『こんなことを質問しているようでは、お前はダメだ!』と完全に否定!長々ときついダメ出しを行っていました。
その結果、その後は誰一人手を挙げることもなく、お通夜状態でその日の報告会は終わりました。
その後、転職先や技術顧問先でも同じような場面に遭遇することが多く、『黙っているのが何より』という風潮が強いことが良くわかりました。
沈黙は金?
『雄弁は銀、沈黙は金』という諺があり、特に後半の部分だけが独立してSilence Is Golden (沈黙は金)となり、トレメローズやフォーシーズンズのヒット曲でも有名です。
ただ、これは欧米人があまりにも自己主張ばかりするので、たまには静かにしていた方が良いということのようではないでしょうか?
従順が美徳?
結局、質問することが疎んじられるのは、自己主張することが疎んじられることだろうと思います。
それは『お上のご意向には何も言わずに従うことが美徳である!』『モノ申すなどもってのほか!』というこの国の文化が染みついているからかもしれません。
その結果かどうか?わかりませんが、災害が発生しても、大きな混乱も起こらなかったことなど、世界でも類を見ない程の秩序が保てたことなど誇れる現象に繋がっていたでしょう。この現象自体は非常に大切なことで続けて行かねばなりません。
その一方で、英語教育を低年齢化、子供時代からディベートを導入して『欧米人化しろ』と言われたところで、ほぼ効果はないようです。
質問者を大切にすべし
そんなこんなですが、研究開発においては、疑問点を封印することは致命的であり、何でも気楽に質問、主張できる環境が必要と考えます。実際、技術顧問で行った先でも、発言がしやすい会社ほど業績も良く、モノをなかなか言えない会社は沈んで行く傾向にありました。
子供の特権にしておくのは勿体ない
徒然草の第二百四十三段に幼少の吉田兼好が父親に向かって質問攻めにし、それを父親が喜んだという逸話が出て来ます。
https://tsurezuregusa.com/243dan/
昔から、この国でも子供は際限なく疑問をぶつけていたことがわかります。
質問することを子供だけの特権にしておくのは勿体ないのではなかろうか?と思いますが…