レンタルレイアウト(2)

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

実家の近所のリサイクルショップ内にレンタルレイアウトができました。

たった一人で作り上げた

昨年のどこかで、このリサイクルショップの店舗は鉄道模型などホビーを中心とすることになると聞いて楽しみにしておりました。その準備などで、数か月かかったでしょうか?ようやく改装開店したと思えば、今度は鉄道模型のレイアウトを作りが始まりました。制作にはMさんという店員さんがたった一人で行っていました。

Nムセン

Mさんとの出会いは随分前でした。
かつて関西にはNムセンという大手家電量販店がありました。
今の家電量販店と大きく違うところは、アマチュア無線や電子部品を扱っていたところです。実家近くの寝屋川の店舗も同様で、中学生の頃には電子部品を買っては、鉄道模型のコントロールボックスを作ったり、結局うんともすんとも言わなかったトランシーバーを作ったりしておりました。

(現代っ子もアナログ好き?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5156193/

大阪の電気店街にはNムセンの店舗もいくつかあり、その中の一つには鉄道模型も扱っておりました。いつしか、J電機やNムセンの店舗で鉄道模型の量産品は2割引で出回るようになり、大変有難い存在となりました。
Mさんはそこの店員さんでした。
そのうち、Nムセンでは、中古品も扱うようになり、父親も頻繁に利用していました。
ところが、経営状態が悪化し、Nムセンは事実上2007年ごろに倒産しました。
それに合わせて、Mさんも行方不明となりました。

リサイクルショップで

その後、思わぬところでMさんと再会しました。
ある時、鉄道模型の雑誌に高槻市内で安価で鉄道模型等を販売しているとの広告が出ていました。
そこはリサイクルショップチェーンの一店舗で、早速行ってみると、Mさんがいました。
商品の一部もNムセンに置いてあったものが引き継がれていました。
この10年程かとは思いますが、父親が大好きだったドイツ製の鉄道模型など、そこでもいろいろなものを買いました。
ところが、その店舗も売りに出されたのか?閉鎖となり、鉄道模型などホビーを扱う店舗は途中2か所をさ迷った後、今の寝屋川市内に移りました。

まだまだ構想段階

およそ2カ月程前に、レンタルレイアウトは開業しました。ただ、とりあえず開業したということで、まだまだ構想は多々あるようでした。駅前の街並みを作る、路面電車の線路を敷設する、山とトンネルと作る、背景画を設置、カメラを設置、などなど現段階では構想の1/3だったそうです。

利用してみて

実際にこのレンタルレイアウトを利用したところ、非常に良くできていました。模型販売歴が長いだけに、トラブルにも熟知しているようで、無理な勾配も作らず、脱線も発生しませんでした。
また、超低コストで作ったらしく、ジオラマコンテストにでも出すような凝った作りないものの、安価な材料をうまく組み合わせて様々は表現が施されていました。元々学生時代はアートの勉強をしていたというMさん、芸術的センスも感じました。
その日は3時間ほど走らせましたが、アッという間でした。

あっけなく…

てなことで、今後も楽しみなレイアウトでしたが、あっけなく終焉を迎えました。リサイクルショップが別のリサイクルショップに経営譲渡され、このレイアウトも廃止が決まったそうです。既に営業も終了し、解体されるそうです。

https://x.com/ryohin_neyagawa/status/1823324395512988147

実はMさん、既に定年を迎えていたそうです。しかしながら、このレイアウト制作の件で、定年を延長して取り組んでいたそうです。ここへ来て生き甲斐を見つけたのか、本当に生き生きとしていました。

吸収合併とは…

勤務していた会社が倒産し、移った先で、ようやく生き甲斐も見つかったにもかかわらず…やりきれないものを感じます。
同じような現象を過去にも見たことがあります。
かつて所属していた会社も合併を経ていました。
実のところ、吸収されたとされる会社の方が遥かに技術力の高い会社でした。ところが、当時の上司は吸収された側から移って来た人たちを『負け組』と呼んでいました。これって、勝った負けたって、ことなんでしょうか?なぜそんな言いかたをするのでしょうか???そして、上司となっていた人たちは吸収した側がほとんどでした。結局、能力のない者が能力のある者の上に行くと、ギャップが発生し、移って来た人たちの多くが辞めて行きました。
個人的には、その中の一人から『結果を文章にまとめる大切さ』を教えてもらいました。私にとっては、非常に大きな影響でした。今でも非常の感謝しております。このことについては、既にあれこれ書いております。例えば、

(しっかり読んでくれたことも…しかし…)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5151814/

自営業を始めてから、技術顧問などで、いろいろな会社さんに行くことがあったりしますが、ほぼ全てが文章書きを蔑ろにしており、そのことにより、開発が進まない大きな要因となっていることがわかりました。しかしながら、経営者の多くがその重要性に気付こうとすらしないのが、更に状況を悪化させているようです。ニッポンのものづくりの低迷下の大きな要因と考えられます。それだけ大きなことと考えます。

活躍の場を!

そんなこんなでしたが、Mさん、今回の経営譲渡をきっかけに、退職するそうです。
今後は細々とYouTubeなどで発表するとのことでした。
おそらく、今回のレイアウト作りで、自らも気付いていなかった才能が開花したのでしょう。実に勿体無い話です。
しかしながら、
退職=自由の身
でもあります。
レイアウト、しかも超低コスト化の実績もあるということであれば、そんなMさんを利用しない手はありません。
ここはMさんにお声がかかることを願って止みません。

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

材料や素材の研究開発、製造工程、特許に関する企業の困りごとを丁寧にサポート。専用の実験室で実証実験や試作も行っており、少量からでも対応が可能です。技術系社員の育成、技術承継も相談に応じます。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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