忙しい!って本当なの?そんなにアピールすべきことなの?

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

私は忙しい

大学関係者に問い合わせをすると、必ずと言っても良いほど同じ答えが返って来ます。
『私は忙しい!』
あたかも『自分だけが忙しく大変で偉いんだ!お前とは違うんだ!』と言わんばかりです。
昨年の10月くらいに、ある材料の評価を、とある大学関係者に相談したところ、『今は忙しくて、とてもでないが、対応できない。来年の3月ぐらいになれば、こちらから連絡する。』と言って来ました。
そして、今年の3月を迎え、何もなく、現在に至ります。
約束を破るほど、多忙極まりないようです。

忙しいは恥であった

私もかつては同じ大学というところで学んでおりましたが、当時は『忙しい』を発することは『恥』とされていました。理由は簡単で『忙しくなって追い込まれるのは、計画性がないからである。物事を整理して考えながら取り組めば忙しくなるはずはない』といったことでした。
ところが、いつしか、学生さんやその延長線上にある若手社員が何のためらいもなく『忙しくて忙しくて余裕がない!』とか『忙しい』を安売りするようになりました。
私が学生のころは、土曜日も大学の研究室にいました。また、居室と呼ばれるところにはほとんど滞在しておらず、常に実験台の前にいたものです。中には居室なるものがなく、実験室内の窓側に向かったコンクリート製の台が机代わりになっている研究室も多々ありました。
ところが、いつごろからか、大学の実験室で人を見かけなくなりました。実験室で怪我でもされたら非常に困るらしく、居室でスマホをいじっているか?そもそも大学にすら出て来ていないか?

若手ばかりでなく

その後、『忙しい』を連発するのは若手だけではなくなりました。
前職時代には昼間に『忙しい?社員』が評価機器を占拠していたので、皆が帰った後に装置を使うことも多かったです。

(裁量労働制は良かった?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5161148/

そして、自らは『忙しい』と主張する社員は普通にいましたが、『夜中に機器類を使うとは忙しそうですね。』とか言ってくれる社員には遭遇しませんでした。いや、これも自己責任、仕事のやり方が下手なので、誰も何も言ってくれなかったのでしょう。(笑)
また、時々訪問することがある会社では社長(70代後半)が二言目には『忙しうて、忙しうて…』です。ちなみにその社長の行動パターンですが、毎日午前11頃、コンビニの弁当を持って登場します。自宅も20分以内の距離らしいです。そして、作業場には照明設備がないので、日が陰ると終業です。
冬場なら午後3時くらいでしょうか?
もっとも、日が落ちると仕事を止めて休む、これこそ人類が原始時代からつい最近まで続けて来た生活リズムです。故に、たとい稼働時間が短くなって密度が高くなった結果、忙しいとばかり言わざる状況に陥ったとしても、日没後に無理して働くよりかは遥かに健康的なのかもしれません。

弱小超零細企業だからこそ

これまで時々申し上げておりますが、弱小超零細企業をやっていると、どうやら他では遭遇しないような、面白い現象に出くわすことがあります。
そんな中、超大手企業の人たちとも話をすることもあります。
そして、大学関係者のことが話題に出ることもあります。
上記、大学関係者の話がわかりやすいので、それを例にします。
このような場合、あくまでも事実だけを伝えます。ここが重要です。
『昨年の10月に打診をしたところ、今年の3月になり、自ら連絡すると言ったのに、未だに何もない。』これだけで十分です。

意外なほど

こんなことを言うと、超大手企業の人達の中には急激に表情が変わることがあります。これは見ていて面白いくらいです。
大企業の方々、意外なほど相手によって態度を変えることを嫌います。
おそらく、上記大学関係者、もし相手が大企業関係者であれば、昨年の10月中には大急ぎで対応していたでしょう。日頃から非常に協力的な態度ばかりだったのでしょう。
ところが、相手が変わると手のひらを返したように全く違う、自分たちは騙されている、ということになるのでしょう。
確かに大学関係者や公的研究機関の方々から中小企業を蔑む声を何度も聞いたことがあります。

(聖人君子なんていない)
https://smooooth9-site-one.ssl-link.jp/banyokagakukenkyusho230710/uploads/blog/28/66aaf0af9faff28.pdf

お金も逃げて行く


こうなりますと、その大学関係者はもとより、場合によっては大学そのものの評価すら地に堕ちて行くことにもなりかねません。
そんなこともあり、上記中、あくまでも『事実だけを伝える』ことが如何に重要か?を申し上げた次第です。
ちなみに、大企業の方々、補助金を申請するのに一緒に組む大学関係者を探していることもあるようですので、自ら資金源のチャンスを逃している方々もおられるようです。
そもそも役に立つ研究か否か?資金を投入すべきか否か?が問われるようになって久しいです。個人的には研究とは物事を解明することで、必ずしも最初から『役に立つ』ありきではないと思います。何かあれば研究などやったこともない大学の事務局がしゃしゃり出て来て、あれこれ言っている姿は見苦しく、腹立たしくも感じます。しかしながら、上記はそれ以前で、人間性の問題と考えます。

やっぱりオレは忙しいんだ!

そして、少なからずの大学関係者が相変わらず旧帝国大学等への嫉妬心をむき出しにする、その一方で欧米の大学や研究機関への異常なまでの賞賛、更には『しょうもない地元中小企業の相手をしている程レベルが低くはないんだ!そんなつまらないことをしている暇はない!オレは物凄く忙しいんだ!!!』と雄叫びなっておられるようです。

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

材料や素材の研究開発、製造工程、特許に関する企業の困りごとを丁寧にサポート。専用の実験室で実証実験や試作も行っており、少量からでも対応が可能です。技術系社員の育成、技術承継も相談に応じます。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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