循環型社会形成に向けた最新の取り組み
皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。
なお、以下はあくまでも過去に偶然にも遭遇した事例に対する単なる個人の感想に過ぎず、法律などを詳しく調査したこともなく、故に正確な知識に基づいたものではないことを予めご理解いただければ幸いに存じます。
「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいが…
「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいです。かつて所属していた会社でもその一環として「裁量労働制」と呼ばれる制度を研究開発系を中心に導入されていました。
そもそも裁量労働制とは『裁量労働制は「働いた時間の長さ」ではなく「働いたことへの成果」に対して報酬が支払われる制度です。労働者が自分の裁量で、仕事の進め方や労働時間を決められるため、うまく運用できれば働き方改革や生産性向上が期待できます。(NTTコミュニケーションズ、2024年4月改正。裁量労働制はどう変わったのか、より引用。https://www.ntt.com/bizon/d/00543.html)』とあります。
当初は評判がすこぶる悪かった
かつていた会社での裁量労働制とは主に以下のようなことでした。
(1) 残業はみなし残業とされ、毎月一定額が支払われる。
(2) 出勤、退勤の時間が定められない。
(3) 1秒でも出勤すれば、その日は出勤扱いとなる。
(4) 定時後残留しても届け出は要らず、仕事量の予測も必要ない。
なお、裁量労働制が導入されるとなった時、周囲での評判は超悪かったです。
その理由は『給料が減るから』でした。
確かにその通りで、どう考えても従来のように、毎日残業を申請して、残業代を稼いでいた方が明らかに実入りは多かったです。
研究開発には裁量労働が合っていた
しかしながら、私の場合は従来より遥かに裁量労働制の方が合っていました。
研究開発をやっていると、どうしても時間には不正確にならざるを得ません。
例えば、当時よくやっていた有機合成であれば、薬剤や溶剤を加熱して作業を行います。ある程度の反応時間は予想できますが、何分初めてのことが多く、必ずしもその通りに行くとは限りません。いわゆる鍋を煮ている状態ですので、基本的に作業場を離れることはできません。更に量産化を踏まえると、製造時の許容作業時間は設定幅が長い方が良く、余裕を持つことで安定生産できます。製造中に何かの理由で作業を停止できなくなった場合、どこまで延長できるか?といったことを実験室レベルで把握しておくことは重要でした。
例えば、化学反応が6時間で終了すると予測しても、あとしばらくは様子を見た方が良いとなったとします。
微量を取り出し、様子を見ながらになりますが、結局全てが終了するまで、更に8時間を要した、ということはよくありました。
言い換えれば6+8=14時間で必要な知見が得られたことになります。
ところが、定時終了とかにこだわり、改めてやりなおすとなると、その日の6時間に加えて、14時間必要となり、残業の申請、原料の再購入など、いろいろやっていると、早くて数日、酷い場合は1ヵ月ほど期間を要してしまうこともあり得ます。
物性評価にも時間がかかる
そんなこんなで、これまでになかった試作品を作ると、次に評価が待っています。しかしながら、得体のしれない物を評価するわけですから、何がどう出るかわかりません。測定装置の設定を何度も変えながら、落としどころを見つけて行くことは日常茶飯事でした。しかも、測定装置の多くは、製品検査にも用いられているので、昼間はそちらが優先され、仮に使えたとしても制限時間が短すぎることがネックでした。結局皆が帰って寝静まった後に納得が行くまで落ち着いて使っておりました。結果的にそれが良かったようです。ただ、このやり方は作業場には人がほとんどいない、時には一人ぼっちで行うため、事故があった時に非常に大きな問題となるので、無条件にお勧めはできませんが…
子供の行事があっても…
他に、裁量労働制のおかげで、子供の幼稚園の行事などにも楽に行けるようになりました。1秒でも…は極端ですが、ほんの30分でも出勤すれば、有給休暇も減らないので良かったです。どうしても生身の体、何かあっても良いように、ついつい有給休暇は一定量確保しておきたかったからです。
裁量労働制は良かった?
その後、働き方改革、時短、ノー残業デー、などと言われるようになりました。おそらく今でも『裁量労働制バンザイ!』などと言うと、袋叩きに遭うような気がします。それは当然かと思います。自営業になってから、接触する会社様の幅が大きく広がりました。その結果、残念ながら、会社員時代では考えられないような酷い契約書案を出して来る会社様もございます。おそらく、そういった会社様はブラック企業と呼ばれるところなのだろうと思いながら、契約を結ばないようにしております。
その一方で、研究開発には時間軸の自由度が高い方が良く、それなりの働き方改革が今後も継続して検討されるべきではないか?と考えます。