自分でできる?限定承認の複雑な手続きを理解する
生前、被相続人から「この家はお前に譲る」と言われていたのに、いざ相続が始まると証拠不足で遺産分割協議が混乱してしまった、といったケースは決して少なくありません。
「ちゃんと口頭で言われたから大丈夫」と思っても、その内容が書面で残されていなければ、トラブルに発展することもあるのです。
ここでは、口約束の法的効力や口約束しかないときの対策、生前に準備しておける相続トラブル対策について説明していきます。
相続で口約束の法的効力はあるのか
結論からいえば、相続における口頭のやり取りには基本的に法的拘束力がありません。被相続人が「財産をあげる」と言っていたとしても、正式な遺言書がない場合、他の相続人が異議を唱えれば無効となる可能性が高いのです。
遺産の分け方に法的効力を持たせるためには、民法で定められた方式にもとづく遺言書の作成が必要です。
【例外】口約束でも有効とされる可能性がある証拠
口約束での遺産分割指定は基本的に無効とされますが、以下のような資料が残っていた場合、裁判所が「意思の存在を示す証拠」として評価する可能性が残されています。
•LINEやメール、手紙などの文書
•会話の録音・動画記録
•親族・第三者の証言
•財産管理に関する証拠(通帳・委任状・印鑑) など
しかし、これらの間接的証拠だけで相続がスムーズに行われるとは限りません。最終的には、調停や訴訟の場で解決することになるケースも出てくるでしょう。
相続で口約束しかない場合に取るべき3つの行動
間接的証拠もなく、口約束をしたという事実しかない場合はどうしたらいいのでしょうか。
1. 他の相続人と冷静に協議する
遺産分割は、相続人全員の合意があれば自由に決められます。口約束の存在とその理由を丁寧に説明し、他の相続人の理解を得ることができれば、話し合いによってトラブルを防げる可能性があります。
ただし、合意には以下の条件が求められます。
•相続人全員の同意があること
•口約束の存在をある程度裏付ける証拠があること
2. 家庭裁判所の調停を利用する
話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、第三者の介入を得て解決を図ることができます。
3. 専門家への相談を早めに行う
相続に詳しい専門家にできるだけ早く相談し、口約束に関連する法的リスクについて理解しておきましょう。そのうえで、相続人同士の話し合いや調停・裁判への対応を適切に進めることが大切です。
口約束を補完しトラブル回避するための生前対策
口約束トラブルを未然に防ぐには、被相続人が生前に法的に有効な対策を講じておくことが何より重要です。以下に代表的な3つの方法をご紹介します。
1. 公正証書遺言の作成
公証人立ち合いのもとで作成される公正証書遺言は、法的効力が高く、後から無効を主張されるリスクも低減されます。
•公証役場で作成されるため方式に不備がない
•家庭裁判所での検認が不要
•第三者の記録が残るためトラブルに強い
2. 家族信託の活用
認知症リスクや介護状況などを見越して、特定の人に財産を承継させたいときには家族信託も有効です。
•財産の承継先を柔軟に設定可能
•生前の財産管理も信託に含めることができる
•遺言と異なり、発効は生前から可能
3. 生前贈与で先に渡しておく
110万円の贈与税の非課税枠を活用しながら、贈与契約書などを残しておくことで、後の紛争リスクを抑えられます。
•書面による贈与契約で証拠を残す
•特例制度(教育資金・結婚資金等)も活用可能
•税務リスクについては専門家の確認を受けるのが安全
まとめ
生前の被相続人がどれほど明確な意志を持って「口頭での約束」をしたとしても、遺言書など直接的な証拠が残されていなければ、口頭での約束を実現することは困難です。
大切な意思は「証拠」で残すことが重要ですし、「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、遺言書を作成する・贈与契約書を残す・家族信託を導入する、といった法的に有効な手段を講じることがとても大切になってくるでしょう。
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