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北海道の魅力が詰まったスイーツで思いを届け、日常に花を添えたい

想いを伝えるスイーツをコーディネートする洋菓子のプロ

村上淳

村上淳 むらかみあつし
村上淳 むらかみあつし

#chapter1

本場フランスで技術を磨いたパティシエが地元の素材を用いたスイーツを提案

 道内有数の花の産地として知られ、個人宅やショップなどが手入れをしている庭を公開するオープンガーデンをはじめ、“花のまち”を象徴するさまざまなイベントが開催されている恵庭市。

 自然豊かな同市に店舗を構え、緑に囲まれた瀟洒なたたずまいで訪れる人を迎えるのは、「ICHIE Flower&Sweets」です。地元の食材をふんだんに用い、丹精込めて仕上げるスイーツで人々の暮らしに花を添えています。

 「当店は、同じ恵庭市で旬の料理や釜めしをお出ししている『いちえ』の姉妹店です。地域に根差し、近隣の農園とネットワークを築いていることから、上質な素材をそろえることができます」

 そう話すのは、統括パティシエの村上淳さん。スイーツの本場・フランスで技術を磨き、帰国後は、「世紀最高の料理人」と称されるジョエル・ロブション氏が開いたパティスリー&ブランジュリーで、スーシェフ(副料理長)を務めた実績を持ちます。

 「雄大な大地が広がる北海道は酪農が盛んです。ケーキ作りに欠かせない牛乳や卵の生産量も多く、生クリームやチーズといった加工品も多彩。また恵庭市には、糖度が高いえびすかぼちゃや、良質なはちみつなどの特産品もあります。そのままでもおいしいものをさらにおいしく、手に取りやすくすることで、北海道の魅力を多くの人に伝えたいですね」

 洗練されたデザインで目を楽しませ、甘い香りと繊細な味わいで心を満たしてくれる品々は、誕生日といったお祝いの席だけでなく、忙しく過ごす毎日のご褒美としても取り入れてほしいと言います。

#chapter2

「誰に喜んでもらいたいか」に焦点を当て、企業のオリジナルスイーツに

 宝石のような色とりどりのスイーツに加え、ギフトに適した商品が充実しているのも同店の特長。30種類以上ある焼き菓子の中でも、人気が高いのが「パティシエのカステラ」です。

 「実は僕はカステラが苦手なんです。でも、僕の仕事はお客さまのニーズを満たすことであり、『好みじゃないからこそ、自分が納得できるものを作れたらすごいんじゃないか』という期待もありました」

 試みは大成功。北海道産の卵をぜいたくに使ったしっとりとした生地に、大小異なる2種類のザラメ糖がアクセントになったカステラは、年齢を問わず親しまれているとか。

 村上さんのラインアップは近隣企業からも注目を集め、「記念品として配るオリジナルスイーツを作ってほしい」といった依頼が増加。2022年には道を上げて行われた「ガーデンフェスタ北海道」の7つのガーデンを模した7種のクッキーを考案し、イベントを象徴する土産品となりました。

 数々の要望に柔軟に応える村上さんには、自分なりの方程式があるそうです。

 「おいしさには明確な定義はないでしょう。例えば、無作為に声を掛けた100人すべてが満足するものを作るのは不可能に近いです。だけど『高齢の方に贈るシュークリーム』『かぼちゃ嫌いな人にも食べられるかぼちゃクッキー』など、誰に喜んでもらいたいかを考えれば、条件はかなり絞ることができます」

 クライアントの中にある曖昧なイメージを話し合いの中で研磨し、煮詰め、「一緒に『おいしさの形』を見つけるお手伝いをします」と呼び掛けます。

村上淳 むらかみあつし

#chapter3

目指すのは、ハレの日にも普通の日にも訪れたくなるパティスリー

 昨今の食品の価格高騰で、飲食・サービス業界は苦戦を強いられています。村上さんは「今は値上げも“仕方ない”と思ってもらえる風潮ですが、甘んじてはいけない」と己を奮い立たせます。

 レシピを見直し、工程の機械化や半調理品の活用などあらゆる方法を検討。何度も試作を重ね、現状価格のままでは味を保てないと判断された商品のみ、改定もやむを得ないと考え、「スイーツはお客さまにとって身近な喜びであるべきで、日本人とパティスリーの距離感を変えたい」と語ります。

 「フランスの街中では一つの通りにパティスリーが2~3軒点在し、チョコレートを1粒だけ買っていく人も多いんです。用がなくても立ち寄れるコンビニくらい気軽な場所であるのに対し、日本ではバースデーケーキや贈答品など特別な用途があって足を運ぶというイメージが強いでしょう」

 生活を豊かにする要素として、パティスリーが日常に深く浸透しているフランスに感銘を受けた村上さん。ハレの日もありふれた日も、顧客の求める「おいしい」が見つかる場所であり続けるため、品質はもちろん、豊富な商品展開や良心的な価格設定など、多方面で努力していきたいと熱を込めます。

 「今後、力を入れたいのはコラボ商品の開発です。企業が日頃から抱いているお客さまへの思いをくみ取り、受け取る人も贈る人も笑顔になれる一品を提供したい。それがICHIEの味をより多くのお客さまに届けることにもなりますから、精いっぱいやらせていただきます」

(取材年月:2023年4月)

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村上淳

想いを伝えるスイーツをコーディネートする洋菓子のプロ

村上淳プロ

パティシエ

ICHIE Flower&Sweets

こだわりの食材を使ったスイーツで北海道の魅力を発信。名店「ジョエルロブション」で培った技術と、食べてもらう人の好みを探る分析力で、さまざまなシーンに合わせたスイーツのトータルコーディネートを目指す。

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