財務の役割
同じ意味として時々使われる「経理」と「財務」の違いについてお話します。
「経理」と「財務」は良く似た分野ですので混同されがちですが、
本当は明確に分けて理解したほうが良い言葉です。
「経理」とは、日々の取引を集計し、試算表や決算書などの資料を作成するまでの
一連の業務を言います。一方「財務」とは、出来上がった試算表や決算書を分析して、
必要であれば対策を講じるなどの業務を言います。
経理とは「決算書を作成するまでの業務」であり、
財務とは「決算書を作成してからの業務」と言えます。
消費税や法人税の額を算出するには、売上の額や利益の額を把握する必要がありますので、
一般的に経理の機能を持たない会社は無いと思われます。何らかの形で経理の機能は存在
するはずです。しかし財務の機能はどうでしょうか。
積極的に財務の機能を有している中小企業は少ないように感じます。
決算書の分析はおろか、受け取った決算書はそのまま書棚に飾ってあるという会社も
中にはあるでしょう。
しかし、通常の会社は間違いなく経理機能があり、事務員や税理士に多額の報酬を支払い、
多大な労力をかけて決算書を作成しています。しかし、財務の機能が無いということは、
単に納税の額を算出するためだけに、多大な労力と費用をかけてしまっていると言うことになります。
船を造ることだけに力を入れ、完成した船を水に浮かべることも無く、
ただ倉庫に置いているだけのようなものです。
「経理」は「財務」を行う上において重要です。しかし「経理」単体では大した付加価値を
生みません。苦労して作成した試算表や決算書を経営に活かすためにも、
是非「財務」を強化してみてはいかがでしょうか。