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生理痛の頭痛は何が原因なのか?痛みやわらげる予防方法について

井上健

井上健

テーマ:頭痛の症状・原因

こんばんはいのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
ひさびさのコラムの更新です。
前回までは頭痛の基礎知識としてコラムを書いてみました。
今回からは頭痛の症状・原因につて書いてみます。



【概要】
月経関連時痛は主に頭痛と腹痛の2種類があります。
ここでは、生理と頭痛の関係について説明し、痛みの予防法についても説明します。

生理が原因で起こる頭痛の特徴

生理が原因で起こる頭痛は、きまった時期に起こるという規則性があります。
この頭痛は、生理開始前後に頻繁に発症します。

生理は、女性ホルモンが周期的に分泌されて起こります。
女性ホルモンの1つ、卵胞ホルモンのエストロゲンは、排卵が起こる直前に分泌がピークを迎えます。
そして
排卵後は急減します。
しかし、すぐにまた分泌を始め、生理開始直前に急激に減ります。

このエストロゲンが分泌される時、脳内物質のセロトニンが減少することがわかっています。
セロトニンの働きは、脳内血管の拡縮のコントロールや、痛みを抑えることです。
エストロゲンが分泌されセロトニンが減少することで、痛みを抑える働きが抑制されます。
その結果、痛みを感じやすくなります。

また生理が始まるときは、子宮が収縮して子宮内の血液を排出します。
この時、子宮内膜からプロスタグランジンを分泌しています。
この分泌量が多すぎると子宮収縮が強くなり痛みが出ます。
プロスタグランジンには、血管を収縮させる働きもあります。
プロスタグランジンが血液にのって体中をめぐって頭痛が起きるとも考えられています。

頭痛の他には、下腹部の鈍痛や、めまい、吐き気、下痢と言った症状を起こします。

生理が原因で起こる月経関連時痛は、このように女性ホルモンの分泌の影響を受けて起こるため、慣れた人なら、その症状の1つである頭痛を感じたら「もうじき生理が始まる?」と予測できるようになるのです。

生理の頭痛は片頭痛の1種 どんな痛み?

生理が原因で起こる頭痛は、片頭痛の可能性が高いといわれます。
片頭痛は、体に深刻な病気がなく、頭に外傷もないのに起こる一次性頭痛の1つです。

この頭痛は、生理痛以外にもさまざまな原因で発症します。
温度や気圧の変化、騒音、睡眠不足などによる心身のストレス、飲酒などが考えられる原因です。
そのため、女性特有の症状ではなく、男女両方にみられる症状です。

痛みの特徴は、心臓の鼓動に合わせてズキズキ・ガンガン痛む、光や音に過敏になる、めまいや吐き気を訴える人もいます。

月経関連時痛の対策や予防法は?

「体を冷やさない」ことです。
そのために、普段から体内の血行をあげる対策をとるようにしましょう。
*頭痛がすでにくる前や頭痛が起こっているときは温めると逆効果になることもあるので注意してください。

(1)服装
手足や腹、腰回りを寒さから守るような工夫をしてください。
冬場は、短いスカートや裸足は極力控え、靴下の重ね履き、使い捨てカイロを下腹部や腰周辺に貼って使うのもおすすめです。

ポイントは、手首、足首、くびれのある腰を中心に冷やさない服装にします。

夏場は、屋内での冷房対策をしっかりとるようにしてください。
オフィスで使う薄手のカーディガン、ひざ掛け、座布団などの保温グッズは、一年を通じて常備しておきましょう。

また体形補正機能がある下着は、血行不良を引き起こすことがあるので、家ではリラックスできる服に着替えるのもおすすめです。

(2)食事
自己流の無理なダイエットはやめましょう。
食事を和食中心にすると、いろいろな食材をバランスよく取れるのでおすすめです。

野菜や大豆を中心とし、肉よりも魚からタンパク質をとるようにします。
塩分は高血圧症の予防にもなるので、日頃から控えるようにしましょう。

また甘いものやコーヒーなどのカフェインの取りすぎには注意してください。
タバコは血流低下の原因だけでなく、生活習慣病の原因にもなっています。

(3)ストレッチ
デスクワークの仕事量が多いと、一日中座りっぱなしというように同じ姿勢を取り続けることが多く、体の血行が悪くなります。
1時間に1回ぐらいの頻度で席を立って歩いたり、ストレッチをしたりしましょう。

座ったままでできるストレッチを紹介します。
・椅子に座った状態で両足を少し開く
・体の力を抜いて上半身を前屈し、両足の間にいれるようにする
・頭を下げたまま、おへそを見ながらゆっくりと上体を起こし、最後に頭を上げて前を見るようにする
・3回繰り返す

(4)骨盤ケア
・仰向けに寝て、足の裏をつけたまま、お尻まで引き上げて膝を開く
・膝が開かない時は、ひざ下にクッションやタオルをはさむ
・両手をおへその下において、目を閉じてゆっくり深呼吸
・全身の力を抜き、リラックスする

(5)アロマケア
アロマオイルは、キャリアオイル15mlに、ラベンダー2滴、クラリセージ2滴、ローズマリー2滴を混ぜる

・オイルを仙骨(尾てい骨の上)に塗ってマッサージ
・ウエスト回り、腰にオイルを塗ってマッサージ(体の前、後ろとも)
・おへその下、下腹部にオイルを塗って、下腹部と仙骨に温タオルをあてる

(6)睡眠
睡眠不足になると自律神経のバランスが乱れやすくなります。
またストレスも解消されにくくなります。
部屋を暗くし、寝る直前のスマートフォン操作を控え、テレビも就寝1時間前を目途に見るのを控えるようにしてください。

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井上健
専門家

井上健(内科医)

いのうえ内科脳神経クリニック

あらゆる頭痛の原因を診断するためには脳だけの専門でなく全身を診ることが必要になることもあります。

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