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片頭痛患者さんの骨粗しょう症(ビタミンD)と高脂血症(スタチン)は内服治療をするのもよい!

井上健

井上健

テーマ:広島の頭痛外来

おはようございます。
立冬の候、みなさまいかがおすごしでしょうか?
私ごと、外食が最近増えてせっかく落とした体重が2kg増えてました。

本日は高脂血症と骨粗しょう症から。

頭痛と関係ないような話題ですが、実は片頭痛患者さんのお話

47歳の女性患者さんが来院されました。
前兆のない片頭痛をかかえておりました。
閉経は45歳のときと少し早め。
腰痛があるということで、腰椎レントゲンをみました。
異常なし、閉経後女性ということで骨密度検査をしました。
骨粗しょう症です!
骨粗しょう症っていうのは骨が弱くなる病気。
とくに閉経後の女性に多いのです。
予防は運動と栄養です。
栄養素としてはビタミンDとカルシウムの摂取が必須。
ある理由からわたしはビタミンDを処方しました。
採血ではコレステロールの値が高く高脂血症です。
ある理由からスタチンというお薬を処方しました。
その理由はなんでしょうか?
この女性はなんと一年後に片頭痛発作がなくなりました。
そしてビタミンDもスタチンも中止しました。
なぜだと思いますか?

スタチンとビタミンDを処方する理由(わけ)

スタチンは脳血管障害の予防薬にもなる
スタチンは血管の壁の内皮にはたらき、その機能を改善したり炎症物質をおさえて血液を固める血小板の機能をおさえる。
片頭痛も血管内皮の障害をおこすリスク因子。
ビタミンDも脳血管障害の予防薬になる
ビタミンDのはいったお食事が多い群は脳血管障害の罹患が少なかったという臨床研究があるんです。
そしてスタチンの副作用でビタミンD欠乏症があります。
スタチンの副作用の筋痛を予防するのにビタミンDがよいとされております。
これらの理由から、総合的に判断してこの患者さんにスタチンというコレステロールを下げるお薬とビタミンDを処方しました。

なぜ片頭痛がなおったか

1 自然経過 なにもしなくても治っていた。
2 骨粗しょう症と高脂血症の治療をした。
3 いのうえ内科脳神経クリニックに来たから。
答えは3
ではなく1と2が正解です。

1 片頭痛の自然経過
  多くの女性患者さんでは月経に関連して片頭痛発作がみられます。
  女性ホルモンの変動が頭痛発作に関連するから。
  妊娠してしばらくするとあるいは閉経後に頭痛発作は減り消失することが多いのです。
2 骨粗しょう症と高脂血症の治療は片頭痛発作の予防治療
  どちらの治療にも欠かせないのが運動療法です。
  患者さんは毎日ウオーキングをするようになりました。
  これは片頭痛の予防にもなると私は考えております。
  またスタチンとビタミンDの内服は片頭痛の予防効果があると論文でも発表されております。
【参考文献】
Buettner C et al. Simvastatin and vitamin D for migraine prevention: a randomized controlled trial. Ann Neurol 2015;78:970-981.

頭痛の悩みでこられた患者さん。
一年後に片頭痛と腰痛はなくなり、骨粗しょう症も高脂血症もお薬が必要でなくなりました。 

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井上健
専門家

井上健(内科医)

いのうえ内科脳神経クリニック

あらゆる頭痛の原因を診断するためには脳だけの専門でなく全身を診ることが必要になることもあります。

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