難治性片頭痛
おはようございます。
いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は、前兆のある片頭痛についての話題です。
前兆のある片頭痛
頭痛がおこるまえに、目の前がきらきらするとか、視野が欠損するとかめまいがするなどの症状を呈する。
これらの症状を前兆といい、頭痛がおこる数十分前からおこることが多いとされております。
当院の患者さんでは、前兆のない片頭痛は669名に対して前兆のある片頭痛は179名でした(2017年統計結果)。
つまり大体三人から四人にひとりくらいは前兆があるのです。
一般に、前兆が来た後の頭痛はひどく、前兆のある片頭痛患者さんは女性の場合月経との関連性がないことが言われております。
一方
前兆のない片頭痛の患者さんは月経との関連は強いようです。
前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛は別物?
前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛は機序がすこしことなるのではないか?というのが私の意見です。
前兆のある片頭痛は閃輝や暗点をともなうかたには、後頭葉に頭痛の原因がある。
その理由
a 前兆のある片頭痛の患者さんは、将来脳梗塞などに罹患する可能性が高いということもいわれております。
b 前兆のみが脳血管障害のリスク因子として加齢により出現することがあります。
c 前兆のある片頭痛と診断されていたかたが実は後頭葉の脳腫瘍だった。
実は脳動静脈奇形だった。
これらのことはよくあります。
d また、前兆は小児ではおこりにくい。
起こっている場合は脳腫瘍などの器質的異常がある場合が多い。
これらの事実があり。
前兆のある片頭痛患者さんについては、脳画像評価(可能ならMRI)が必要だと思います。
当院での症例の経験
症例1
16歳女性
10歳のころから右半分の視野がかける
それに関連して嘔吐を伴う頭痛。
当院に先日来院されました。
本人、MRI撮影はしたくない様子でした。
しかし
閃輝なく右半分のみの視野が欠ける症状はどうしても左後頭葉の病変を鑑別する必要あり。
*ヒトは右半分の視野は左後頭葉で見ております。
本人に説明し、納得していただき頭部MRI。
結果は、脳動静脈奇形がみつかりました。
診断名 脳動静脈奇形による前兆のある片頭痛様発作
症例2
17歳女性
後頭部痛を主訴に来院
11歳頃から前兆のない片頭痛
○月×日
2時半の授業開始 嘔気出現
閃輝暗点出現(うまれてはじめて)し後頭部痛
その後嘔吐
当院に同日受診。
頭部MRI 頭部CTにて後頭葉に腫瘤あり。
同日総合病院脳外科受診し入院。
診断名 前兆のない片頭痛の既往と現在
脳腫瘤による前兆のある片頭痛様発作
(実際の年齢、性別は個人情報特定避けるため架空にしております)
まとめ
前兆のある片頭痛と診断された患者さんの頭痛原因の多くは、機能的頭痛であり脳腫瘍などの器質的原因がありません。
しかし
前兆のない片頭痛と診断された患者さんにくらべ圧倒的に器質的問題を脳にかかえていることが多いです。
前兆のある片頭痛は頭痛発症の機序が前兆のない片頭痛とは異なる(私意)。
*無症状の方の頭部MRI撮影(院長ブログもご参考ください)