緊張型頭痛
いままでいろいろな病院にいきましたが、当院ではじめて診断されました。
・群発頭痛
・脳脊髄液漏出症
・くも膜下出血
・上顎洞癌
など経験しております。
これらの疾患では、多くが緊張型頭痛と診断されてしまってます。
緊張型頭痛は日常生活に支障がない頭痛です。
その頭痛のために病院に行かれるかたは、なにか脳に異常があっては困るから。
頭痛がしんどくて受診されません。
頭痛がしんどくて受診された場合に緊張型頭痛はあきらかに誤診。
誤診にいたる最大の原因
患者さんのことばを主治医が理解できないことです。
上記の頭痛では、群発頭痛は人生最大の頭痛が何度もくりかえし起こりますが、診察時に頭痛はおこってませんので患者さんのことばのみがたよりです。
同様にくも膜下出血の前兆といわれる頭痛も診察時には軽減しております。
脳脊髄液漏出症や上顎洞癌も痛み(上顎洞癌は上顎部の痛み)の程度は強いのですが、顔をしかめたり汗をながしたりするほどではないので我慢強いかたは傍からみたら痛みなどないように思えます。
したがって患者さんのことばのみがたよりです。
当院では、受付スタッフによる問診・問診表・私の問診・看護師による問診、そして私の問診という順番で新患さんに問診をしていき(ときに臨機応変します)患者さんのことばを誤ることがないように努力しております。
群発頭痛編
昨夜もひどい頭痛がありました。
でもいまはなんともありません。
ここでの質問は
「何時くらいになにをされているときでしょうか?」
ときき
「そのときの頭痛の程度は、えぐられる位の痛みですか?」
「眼の充血や涙や鼻水、顔面が熱くなる感じなどなかったですか?」
と続きたいのですが、
「いまはなんともない。」
この言葉で、二次性頭痛(脳腫瘍などの器質的異常による頭痛)はないと判断してしまうかたが多いのです。
いそがしい外来では、頭部CTやMRIを撮影されて異常なし。
患者さんも脳に異常ないんだったら原因はともかく、ほっとします。
で、家に帰りまた寝る前に酷い頭痛!
やはりもう一度、この頭痛をなおしてくれる病院を探そう。
となります。
脳脊髄液漏出症編
○月×日くらいから頭痛
毎日頭痛が続いています。
朝おきるとき頭痛はありません。
夕方になると耐えれないくらいです。
ここでの質問は
「起きてからどれくらいすると頭痛がおこりますか?」
これに続いて
「その頭痛は、よこになると治まりますか?」
「頭痛がおこるまえに怪我をするとかなにか衝撃をあたえることはなかったですか?」
と続きたいのですが、
「朝おきるときはなんともない。」
この言葉で、
最悪頭痛である脳腫瘍による頭痛が鑑別できました。
脳をかこむ髄液は適当な圧につねにたもたれております。
脳のなかになにか病変があると脳は圧迫され、髄液圧があがります。
それで脳のまわりを囲んでいる硬膜が刺激されて頭痛が発症。
頭をさげていると生理的にも髄液圧はあがります。
だから脳腫瘍のときには朝起きたときに頭痛を感じたり、あるいは就寝中に頭痛でおこされるのです。
起床時頭痛(モーニングヘッドエイク)といって脳腫瘍を鑑別しないといけません。
このような恐ろしい病気による頭痛を鑑別したあとは、
画像検査で異常なし。
緊張型頭痛は筋肉の凝りからくるような頭痛です。
程度はかるいのですが、お仕事や学校などでストレスを感じたあとにおこりやすいのです。
「夕方になると強くなる頭痛。」
このキーワードで緊張型頭痛と誤診してしまうんです。
さきほども、書きましたが緊張型頭痛は日常生活に支障がない頭痛です。
脳脊髄液漏出症はけがなどで首や腰などで髄液が漏れることにより生じる頭痛。
髄液圧がさがることにより出現。
臥位になるとよくなり、起き上がると頭痛が出現。
初期は、比較的シンプルに診断できますが、診断されずに放置されていると
頭痛は臥位でも出現するようになり診断が困難になります。
しんどいことをうまく訴えましょう
頭痛が起こっているときは、ないもできなくなる。
いままで経験したことない頭痛である。
頭痛と同時におこる症状を訴える。
頭痛の性状をうまくつたえましょう。
→ずき・ずきする頭痛といえば髄膜炎や片頭痛のときの拍動性頭痛と受け止めることができますが、一次性穿刺様頭痛や後頭神経痛・三叉神経痛などの穿刺痛とも受け止められます(専門用語使用しましてすみません)。
拍動性なら「ずきん、ずきん」といいましょう。
でも
患者さんにこれらのことは要求できませんね。
きちんとお話を聞いてくれる病院を受診しましょう。
Listen to Your Patient; He’s Telling You the Diagnosis!
(患者さんのことばをよく聞きましょう。患者さんはあなたに診断名を教えてくれます。)
医聖といわれるウィリアム・オスラー(1849-1919)*のことばです。
わたしは開業した当時、診察室の壁にこのことばを掲げておりました。
そうなんです。
名医とは患者さんのことばをひきだせれるかなんです。
しろうとである患者さんは我々にとっては、診断になんの関係ないことをどんどん話してしまい、肝腎なことは話さないものなんです。
それをひきだすのが我々の役目なんです。
*オスラー先生も片頭痛もちだったといわれております。