広島で頭痛外来
脳動脈瘤は脳の周りを囲んでいる動脈の血管にできます。
瘤状のものや紡錘状に動脈が膨れたコブです。
風船が膨らむ感じが瘤状動脈瘤で、両端がすぼまったつぼみのような形をしているのが紡錘状動脈瘤です。
大きな血管が枝分かれるところ(血管分岐部)にできることが多いですが、枝分かれとは関係のないところにできることもあります。
脳動脈瘤が破れてしまうと、脳を包んでいるくも膜という膜の内側に出血をきたします。
これがくも膜下出血です。
原因
動脈瘤が発症するには、先天的要因と後天的要因が重なりあって起こると考えられてます。
先天的要因とは遺伝的要因です。
ご両親のどちらかが脳動脈を持っていたら脳動脈瘤をもつ確率が高くなると言われております。
しかしこの遺伝的要因は、単一遺伝子ではなく多因性遺伝子であることが多いといわれます。
脳動脈の血管壁は内膜、中膜、外膜の三層でつくられていますが、その中膜の一部が生まれつき欠損していたり脳動脈の血管の壁の脆弱性が原因と考えられます。
後天的要因とは、動脈硬化の原因といっても良いと思います。
病気では、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満症などがあります。
数は少ないと思われますが、真菌、細菌、梅毒などの感染症も動脈壁を脆弱にし脳動脈瘤をつくります。
まれですが、感染性心内膜炎という心臓の病気が脳動脈瘤の原因だったりします。
生活習慣では、喫煙、ストレス、運動不足などがあると思います。
症状
破裂していない動脈瘤は未破裂動脈瘤と呼びます。
なんにも症状がないことが多いのですが、動脈瘤が目の奥にできたりすると瞳孔の異常や物が二重に見えるような症状をきたします。
脳幹部などに巨大脳動脈瘤をもつ患者さんでは歩行障害やお食事が飲み込みにくくなるといった嚥下障害をきたしたかたもいらっしゃいます。
なにも症状が現れないことも少なくありません。
動脈瘤で大きなものは、瘤の中に血の塊ができて脳梗塞の原因になることもあります。
診断
脳動脈瘤があっても無症状なことが多いため症状があり見つかることは少ないです。
頭痛の原因などを調べているときに脳MRIやMRAと呼ばれる検査方法で偶然見つかることが多いです。
脳動脈瘤が疑われたときは脳動脈の位置や大きさや形状などから判断しMRAで経過観察したり、さらに大きささ形状を詳しく調べるために造影剤を使用して頭部CT検査を行います。
時には、入院して血管内カテーテルを用いた脳血管撮影を行うこともあります。
治療
脳動脈瘤の治療は大きく二つあります。
クリッピング手術と血管内治療です。
クリッピング手術
外科手術です。
頭蓋骨を削り開頭します。
目的の動脈の根っこにクリップをかけます。
頭蓋皮膚を切開し、開頭しますので頭皮に手術痕が残ったり、頭皮にしびれが残ることもあります。
次の血管内治療に比べ侵襲度は高いもの、術中のくも膜下出血などに即時に対応が可能です。
血管内治療
太ももの動脈からカテーテルを通して行う手術です。
目的の動脈瘤のなかに、カテーテルのなかに挿入した細いコイルを詰め込み瘤の中を固めて治療します。
うまくいけば侵襲度は低く、皮膚に瘢痕やしびれを残すことはありません。
以前はクリッピングに比べ再発率が高いといわれてましたが、近年の機器や技術の進歩により再発率も低くなっております。
しかし、この治療中にくも膜下出血を来した場合は改めて開頭しなくてはいけませんので生存率は低下します。
脳動脈瘤の治療を行うべきかという点については
年齢や現時点での健康状態、将来への展望はもとより、瘤の大きさや形、家族歴の有無、生活習慣など様々な因子を考慮したうえで決定されます。