難治性片頭痛
本日の話題は当院の得意とする薬剤の使用過多による頭痛について
Q1 鎮痛薬を月の半分以上も飲んでますが頭痛はいっこうによくなりません。
Q2 どうしたら、飲んでいるお薬の量を減らすことができますか?
Q3 腰痛のおくすりを飲み始めてから頭痛がひどくなりました。腰痛のお薬と頭痛薬の併用はいいですか?
このような質問があります。
このような疑問をいだかれるかたは頭痛薬を飲み過ぎて頭痛になっている可能性があります。
お薬飲み過ぎの頭痛は、薬剤の使用過多による頭痛(旧称 薬物乱用頭痛)といいます。
薬剤の使用過多による頭痛のチェック
このチェックでは、あなたが経験する頭痛すべてについて答えてください。
1.一週間に四日以上、頭痛で日常生活に支障をきたしてますか?
2.痛みや頭痛のために、市販薬あるいは処方薬を一週間に四日以上飲んでいますか?
(ただし、脳梗塞や心筋梗塞などの予防で低用量のアスピリンを飲んでいるかたはこのなかに含めないでください。)
この二つの質問のいずれかに「はい」がある場合は、薬剤の使用過多による頭痛のリスクがあります。
しかし、この質問に答えられないかたも多くいらっしゃいます。
というのは、頭痛が頻発しているかたは、自分が日々どれぐらいの量のお薬を飲んでいるのか把握できなくなっているからです。
薬剤の使用過多による頭痛になっていないのを確認するためには頭痛ダイアリーを是非記録されることをおすすめします。
Q1 鎮痛薬を月の半分以上も飲んでますが頭痛はいっこうによく
50歳女性
若いころから生理前になると頭痛で悩んでました。
しかし、市販薬で対応できてました。
更年期障害がではじめてから市販薬の量が増えて、ほぼ毎日のように頭痛がきそうになるたびにお薬を飲んでます。
最近、市販薬が効果なくなりました。
どうしたらようでしょう?
A1 薬剤の使用過多による頭痛になっている可能性があります。
早めにお薬を飲むのは誤りではありませんが、片頭痛患者さんによくある予兆期にお薬を飲むのは通常は避けていただきたかったです。
予兆期には、肩こりや音や光やにおいに過敏になる、あくびや過食、気分がブルーになるなどあります。
片頭痛患者さんの半数以上で経験します。
頭痛が起こってから市販薬を飲むのでは30分位は頭痛を我慢しないといけなくなります。
そのため、予兆期の市販薬を飲むかたがいらっしゃいます。
その結果、月に10日以上、頭痛薬をのむようになると薬剤の使用過多による頭痛になる可能性がでてきます。
薬剤の使用過多による頭痛では、お薬が効いている期間がだんだん短くなります。
その結果、お薬の必要量が増えます。
脳の疼痛を制御するシステムに異常をきたします。
お薬をのむと余計に痛みを感じやすい状態になります。
いま飲んでいるお薬をやめるための治療を受けてください。
Q2 どうしたら、飲んでいるお薬の量を減らすことができますか
40代男性
頭の片方のこめかみあたりから首すじにかけてずきずきと痛みはじめ、市販薬を手放すことができなくなりました。
セデス、バファリン、ナロンエース、イブなどいろいろな種類の鎮痛薬を毎日飲み続けてますが、飲み過ぎではないかと心配になってます。
どうしたら、お薬の量を減らすことができますか?
A1 薬剤の使用過多による頭痛の疑いがあります。頭痛外来を受診されてください。
薬剤の使用過多による頭痛の状態です。
治療の基本はいままで飲んでいる市販薬をすべてやめることです。
そして片頭痛の予防薬をのみます。
一時的にひどくなる頭痛に対してはトリプタン製剤やカフェインなどが添加されてない鎮痛薬を使用します。
薬剤の使用過多による頭痛は、脳が痛みに対し過敏になった状態です。
知覚過敏の結果、めまいや耳鳴りやしびれ感を併発することもあります。
脳のなかに脳腫瘍などの異常は出現してないか画像診断をする必要もあります。
きちんと頭痛外来を受診してください。
正しい診断のもと、正しい指導が必要です。
我々専門医はいろいろな工夫をして対処していきます。
(一回の受診でお薬を止めれなくても後ろめたい気持ちにならず、再診をつづけることが大切です。)
Q3 腰痛のおくすりを飲み始めてから頭痛がひどくなりました。
30代男性
腰椎椎間板ヘルニアと診断されて腰痛のためにトラムセットという鎮痛剤を処方されております。
長年の片頭痛が最近ひどくなりました。
A3 処方している先生も知らないうちにおこっている薬剤の使用過多による頭痛かもしれません。
整形外科疾患では鎮痛剤を連日投与することは基本です。
長期間連用されていてもなんともない方が大多数です。
しかし、片頭痛があるかたには注意していただきたいところでした。
鎮痛薬は2-3週間の使用ではまったく問題はありません。
三か月以上にわたって飲むときには薬剤の使用過多による頭痛を併発してしまうことがあります。
病院の問診のときにお薬のアレルギーの項目に
「片頭痛があり長期鎮痛薬は飲めません」と書いていただいたらよいかと思います。
しかし薬剤の使用過多による頭痛についてご存じでないお医者さんも多いので、何故かと質問されるかもしれません。
そのようなときは、本コラムを先生に見せてあげてください。