広島市中区いのうえ内科脳神経クリニックにおける頭痛患者さんの統計
頭部神経痛(とうぶしんけいつう)
ストレスや肩こりからおこることもありますが、この頭痛の場合は頭痛専門医に受診されることをおすすめします。
三叉神経や後頭神経にあらわれる神経痛のことをまとめて、頭部神経痛といいます。
三叉神経痛については以前のコラムで書いてみましたので、今回は後頭神経痛について書いてみます。
後頭部の皮膚には、頭部の皮膚の感覚をつかさどる神経が分布してます。
これらの神経を後頭部神経といいます。
・大耳介神経(だいじかいしんけい)
耳のうしろの皮膚に広がってます。
・小後頭神経(しょうこうとうしんけい)
耳のうえ、側頭部に広がってます。
・大後頭神経(だいこうとうしんけい)
頭のうしろから、頭頂部に分布します。
後頭神経痛は、後頭部から側頭部、頭頂部にかけて、刺されるような痛みです。
つまり、大後頭神経及び小後頭神経の支配領域におこります。
支配領域に一致した発作性の突くような痛みです。
その領域の皮膚がひりひりしたり、異常感覚をきたすことがあるのが特徴です。
頭の血管が切れた?というような痛みです。
後頭神経痛と診断が正しくされれば、心配ありません。
通常は、1週間から10日で痛みはなくなります。
後頭部にある、頭板状筋のマッサージでよくなると頭痛専門医の永関先生は著書の中でのべております。
飲酒をひかえて、睡眠をたっぷりとる。
お風呂につかる。お湯の量は首の高さまで。
後頭部のツボを押す。
消炎鎮痛剤
私の経験では、ロキソプロフェンよりインドメタシンがよいかもしれません。
神経の過敏性に対して
プレガバリン、アミトリプチリン、デュロキセチンなどが有効です。
診断基準です。
A. 片側性または両側性の痛みであり、基準B~Eをみたす。
B. 痛みは、大後頭神経、小後頭神経、第三後頭神経のいずれかひとつ以上の支配領域に分布する。
C. 痛みは以下の三つの特徴のうち少なくとも二項目をみたす。
1.数秒から数分間持続する疼痛発作を繰り返す。
2.激痛
3.ズキンとするような、刺すような、または鋭い痛み
D. 痛みは次の両者をともなう
1.頭皮または頭髪(あるいはその両方)への非侵害刺激によって、異常感覚またはアロディニア(あるいはその両方)が出現する。
2.以下のいずれかまたは両方
a) 障害神経上の圧痛
b) 大後頭神経の出口部あるいはC2領域のトリガーポイントがある。
E. 痛みは障害神経の局所麻酔薬によるブロックで一時的に改善する。
F. ほかに最適なICHD-3の診断がない(ICHD-3は国際頭痛分類のことです)。
最後のところで、他の疾患の除外となってます。
つまり、このような頭痛は、頭痛を専門にしている医師に相談して下さい。
というのは、以下のような頭痛を鑑別する必要があるからです。
後頭神経痛様の頭痛
椎骨動脈解離
椎骨動脈という血管の壁が破れて頭痛になります。くも膜下出血や脳梗塞を合併することがあります。
帯状疱疹
水ぼうそうウイルスが頭の皮膚に悪さします。
結構痛いことあります。
皮疹は痛みの後、1週間遅れてでることがあります。
脳梗塞や脳出血
小脳に脳梗塞や脳出血が起こったりした場合、頭痛がしやすくなります。
通常はふらつきなどの合併症をきたします。
小脳腫瘍
脳圧の亢進から、ある日急に後頭神経痛様の頭痛をきたすことがあります。
頭痛だけが訴えのこともあります。