難治性片頭痛
大晦日の夜にこのような話題で申し訳ごあいません。ただ、今もし頭痛で悩んでいる方、あるいはご家族や知人がいらっしゃいましたら本文はきっとお役にたつと思います。
危険な頭痛のワースト1は「くも膜下出血」です。
「人生で経験したことのないような頭痛」と「雷が落ちたような頭痛⇒雷鳴頭痛(らいめいずつう)」に当てはまる頭痛の約八割がくも膜下出血の症状といわれております。
患者さんが、このような頭痛で来院された時には、とくに神経をとぎらせて、診察にあたっております。頭部MRIかCT撮影をして、必ず出血の有無をみきわめます。また、頭痛などほとんど経験したことのないのに雷鳴頭痛を呈した場合は、頭部MRIやCTで異常がなくても髄液検査といって腰から針を刺して髄液をとることまでする必要がある場合があります。とにかく、「人生で初の頭痛」は、すぐに受診してください!
発熱を伴う頭痛などは髄膜炎(脳を覆っている髄膜という膜の炎症)や脳膿瘍(のうのうよう)の場合があります。脳膿瘍は脳にばい菌による膿(うみ)がたまる病気です。このタイプの頭痛はくも膜下出血と異なり頭痛が時間経過で強くなります。また感染症の特徴として夕方に、ひどくなり朝は多少軽くなることもあります。くも膜下出血ほどの緊急性はないことも多いですが、数時間で意識がもうろうになられる方もいらっしゃいますので、こちらもすぐに受診してください。
*風邪症状と同時にくるいつもの頭痛は心配ありませんので、いまで通りの症状であれば、過度に心配なさらないでください。
後頭部がズキンズキンとするような頭痛の9割位は画像や、血液検査などからは原因がみつからない良性タイプの後頭神経痛です。後頭神経や三叉神経、肋間神経、坐骨神経などは疲労や、長時間同じ姿勢でいるとか、飲酒、睡眠不足などの体調不良から知覚過敏になりやすい神経です。後頭神経が過敏になることで、結構強い頭痛が起こります。歯が痛くて虫歯と思って歯医者さんに受診しても虫歯はないですよ「知覚過敏」ですよ、といわれる神経過敏による痛みです。しかし、その他には椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)という重篤な状態になりうる病気や帯状疱疹ウイルスの感染や小脳脳幹部に腫瘍(しゅよう)がある場合があります。椎骨動脈解離は椎骨という首の骨の中を流れる血管の壁が避ける病気で血管壁が外側に裂けるとくも膜下出血になり内側に裂けると脳梗塞を発症すると言われております。この病変を見つけるためには高磁場(1.5テスラ)のMRI装置が有効でありますが通常のMRIの撮影法では見逃すことがあったりするのでより専門な撮影法ができる施設が望ましいと思います。
脳腫瘍(のうしゅよう)の頭痛では起床時の頭痛が特徴的です。この場合は、痛みで目覚めることが多いです。人の脳は重力の関係で立った姿勢でいるより、寝ている姿勢で脳圧が高くなる傾向があります。脳腫瘍などの脳に占拠性病変があると脳圧亢進することにより頭痛が生じますが朝方など脳を臥位にしている時間が長くなると脳圧亢進症状が強くなり頭痛を来たして目覚めます。起床時頭痛の中で恐ろしい疾患が脳腫瘍です。他に起床時頭痛は副鼻腔炎(蓄膿症)でも見られたり片頭痛や睡眠関連性頭痛でも見られたりしますのでMRIやCTなどの画像診断にたよる必要がでてきます。
他にも脳梗塞や脳出血による頭痛などが危険な頭痛として挙げられますがほぼ機序としては脳腫瘍の時の頭痛のように頭蓋内圧の亢進によるものか、硬膜(こうまく)という脳を囲んでいる部位を直接刺激するためかのいずれかとなります。
*頭痛で病院に行こうか悩まれている場合は、上記に少しでも該当するならば迷わず受診されてください。